「ふふ、もうちょっと待ってくれると助かる。」
サンジに言ってキッチンへと立ち、頭に思い浮かんでいるレシピを順番通りに進めていく。そんな最中、「ーっ!お菓子くれっ!!」なんて言いながらダイニングの扉を勢いよく開けて入ってきたルフィはイスへと腰を下ろしてボウルの中でくるくると回っているクリームへと熱い視線を向けながら、何度目か分からなくなってしまったその言葉を再び俺へと放ってきた。
「どれくらいでできるんだ?」
「そうだな、もう30分もかからないよ。」
「えェ!?まだ30分もかかるのかっ!?」
「おれ、腹減りすぎてとけそうだぞ、」 大げさに言っているのかそれとも本当に溶けそうなのか、彼の場合は後者に近い気がするが、机へと顔をくっつけながらそんな事を言ってくるルフィに、思わず苦笑を漏らしてしまいながらも、結局俺はそんな彼の顔に弱いから、
「ルフィ、ちょっと味見をしてくれるか?」
「っ! おおっ、する、するぞ!!」
「どれを食うんだ?全部かっ?」 俺の言葉に、先程までの顔はどこへやら。ぱっと嬉しそうな笑みへと変わったその顔に、つい自分の頬も緩んでくるのを感じながら、「じゃあ、クリームを頼もうかな、」なんてスプーンを差し出そうと近くを探しながら、ルフィに返事をしていれば、白いそのクリームの中に、別の色のものが、勢いよく入り込んでいくのが、視界に入ってきて、
「美味ェぞ、!!」
「 それは良かった。」
大きく一掬いした、指に乗ったそのクリームは瞬く間にルフィの口の中へと消えていって。それから満面の笑みを俺へと向けてそう言ってくれるルフィを見やりながら、俺は片手に掴んでいたスプーンをテーブルへと戻す。「なァ、もう一回食べて良いか?」 なんて聞いてくるルフィに、思わずまた苦笑してしまいながら、けれどゆるりと頷いて、ボウルを差し出そうと手をそれに伸ばしていると、何故か彼の手に、俺の腕が掴まれてしまって、
「 ルフィ? っな、!」
彼のそんな行動に、疑問符を頭に浮かべながら彼の名前を呼んでいれば、俺の指が俺の意志にお構いなくクリームの中へと突っ込まれる動作が、俺の視界へと映り込んできて、突然の事に、手を引っ込める訳でもなく、視線をそこに固定してしまっていると、そのクリームの乗った俺の指が、彼の口の中へと入っていく、のを、
「 おおッ!やっぱこうした方が美味ェな!!」
「の味もするぞっ!」 笑みを浮かべたまま、俺の指を口の中に含んだまま、器用に言葉を放ってくるルフィに、「あ、ああ、それは、良かった。」なんて何が良かったのか自分でも分からないままに、彼へと返事をする。何をしているんだろうか、彼は。そして俺は。突然の彼の行動に、けれど笑みを返してしまう俺自身に呆れながら、掴まれた腕を、彼の顔を、視界に入れていれば、
「 やべェ、」
「どうした、ルフィ?」
「の指でクリーム食うってのは良い考えだと思ったけどなァ、」
「 ??ルフィ、何を、」
「 、俺な、」
「 ケーキじゃなくて、食いたくなってきた。」 続けざまに紡がれたその言葉を聞きながら、彼の唇が、今度は俺の指ではなく唇の方へと、急襲してきたのであった、(あー、サンジに怒られるぞ、これは。)
Happy Valentine!!
それでも、結局「食べても良いか?」 なんて聞いてくるルフィを、俺が受け入れてしまうのは、