ふと、身体の中を駆け巡った柔らかな、温かいその感覚に、ゆるりと俺は意識を浮上させる。ぼやける視界に入り込んでくるその色に、頭から伝わってくる自分とは違う体温に、隣に隊長がいるのか、なんて事を今更ながらに脳内でぼんやりと再認識をする。


「(   温かい、)」


隊長がいることを意識し始めたからなのか、何なのか、触れている隊長の腕から流れてくる心地よいそれに、もっとそれへと触れていたいなんて思ってしまって。思うだけならまだしも、寝起きの所為か、理性が正常に動いていない脳内では、体の方へと信号を発してしまったらしい。もうすでに、一歩動いてしまえば胸元に顔がぶつかってしまうくらいの距離であるのに、構わず俺はそのまま隊長の方へと身体をすり寄せて、


「   んー、」


そんな事をしていると、不意に隊長のそんな声が俺の耳へと降ってきた。起こしてしまっただろうかと、寄せていた身体をピタリと止めて、そっと上を見やれば、けれど隊長の瞼が開けられる気配はなくて。ほっとしつつ、不自然に固まっていた身体を先程よりも慎重に動かすようにして、ようやく、隊長の体温が俺の体内へと流れ込んでくるのを全身で感じることができるようになって、


「  ふふ、(エース、隊長、)」


感じる心地よさに、愛おしさに、思わず笑みが零れるのを抑えられなくて。ついそれを声へと乗せてしまいながら、包まれているその感覚に、声だけでなく、顔も同じように緩んでいってしまう。彼の能力がそうさせているのか、元々そうなのか、人よりも少しだけ高いその体温が、俺には、ひどく、 


「   、」


そんな事を思っていれば、不意に響いてきた隊長のそんな声。けれど、先程のように起こしてしまっただろうか、なんて心配が頭を過ぎらなかったのは、隊長のその腕が、折り曲げられて俺の頭へと、俺の背中へと触れて、自分の方へと引き寄せるように抱き込んでくれたからで、( 本当に、この人は、)


「(   隊長、)」


まるで自分が溶けてしまうような感覚に陥りながら、それと一緒に身体の中からも何か融け出して溢れかえるような感覚も脳内が感じ取る。そんな事を思っているなんて、寝ている隊長はもちろん知らない訳なのだけれど、でも、そんな俺の考えを感じ取ったかのように、隊長の顔が、俺の髪へとすり寄ってきて、


「  (まだ、起きる時間じゃないですもんね。)」


人よりも少しだけ低い自分の体温に、不便だと思った事は一度もないけれど、こんなにも、彼から伝わってくる熱が心地よく感じるのが、それのおかげだとしたら、( まあ、それ以外にも理由はあることぐらい、自覚はしているけれど、)

一緒に寝る

ゆるりと頬を緩ませながら、隊長の背中へと腕を伸ばした。