「・・・おい、ゾロ?」
「ん?なんだよ、寝かせろ。」
「・・・いや、寝るのは一向に構わないが、」
「何か、あるか?」 そう俺が訊いた後、ゾロは少しばかり考えて隣に腰を下ろすように自分の隣を手で叩いた。その行動に少々疑問を抱きつつも、ここで読書をする時のいつもの癖で足を伸ばした格好で彼の隣に腰を下ろすと、俺のその伸ばしきった足の上に自分の頭を乗せてきて、
「俺のために、“何か”してくれんだろ?」
「あ、ああ、誕生日だからね。それは俺が言い出した事だから・・・」
「なら、さっさと寝かせてくれ。」
「まだ、寝足りねェんだ。」 気が付けば寝ている君が何を言うか、なんて言いたかったが、そんな俺の言葉すら聞かないまま、ゾロは本当に睡眠をし始めてしまった。彼が眠ってしまったからには起こすのもあれだし、俺は少なくとも宴まで、このままの格好を維持しないといけないという事になってしまいそうだが・・・そんな事を思っていると、先程の彼の言葉にようやく理解が俺の脳内で至ってきて
「(・・・ああ、だから、)」
俺の膝の上でいつものように気持ちよさそうに寝る彼の姿を見て、思わず笑みが零れてしまう。しかし、こんな事で本当に良いのだろうか、なんて考えが浮かんできてしまうのだけれど、それを後から彼に訊いた所で「俺が良いっつったんだから、良いじゃねェか」なんて返ってくるのがオチだろうとすぐに予想がついてしまって。・・・それから、そんな彼の言葉に、俺が結局甘えてしまう事も、
「ふふ、仕方がないな、俺も・・・(君の誕生日だって言うのに、)」
呟くようにそんな言葉を吐きながらも、緩む頬を抑えきれない。けれどやっぱりこれだけではあれだから、久しぶりに彼と手合わせでもしてみようか、それなら彼も喜んでくれるかも知れない。なんて事を思いながら、そう言えば、彼に言ってなかったなと今更ながらに思い出して、既に寝てしまっている彼へと喉を震わせて、
「誕生日おめでとう、ゾロ。」
これからも、よろしく頼むよ。 そんな俺の言葉に、彼の口の端が上がった気がした。