部屋から宴が行われている食堂へと戻ろうとしたそんな廊下で、前方からやってきたのはエース隊長であって。まだ宴は続いているのに何処へ行くんだろうという疑問と、いつもの歩き方とは違った、何かを気遣って歩くようなそれに対しての疑問を抱えながら隊長の名前を呼んだ。けれどその疑問は隊長が答える前に、彼がこちらに近づいてくるにつれ隊長とは別の姿を捉えた俺は「ああ、」なんて1人で納得をしてしまった。
「の奴、本当に隊長の背中に抱きつきに行っちゃったんですねー。」
「なっ!!?お前かにこんなに飲ませた犯人はっ!!!」
「ち、違いますよ、俺がの隣に座った時にはできあがっていましたもん。」
けらけらと笑いながら放った俺の言葉に、へべれけになって気持ちよさそうに眠っているを背中に乗せたまま、凄い勢いでこちらへと迫ってくる隊長に、俺は一瞬焦りを感じながら両手を前へと押し出して即座に弁解の言葉を紡ぎ出して・・・それにしても、
「いやあ、まさか「エース隊長の背中は温かいらしいぞ!」なんてジョークに本気で乗るとは、」
「っ、お前が言ったんじゃねェかっ!!!」
「うわっ、な、何ですか、もう。」
ハハハ、なんて手をひらひらと振りながら隊長にそんな事を言えば、返ってきたのはとてつもなく速くて、大きな突っ込みであって。突然のそれにビクッと身体をさせてしまって何となく恥ずかしかったから、エース隊長に「じゃあ、「マルコ隊長の胸元が温かいらしいぞ!」とでも言ったら良かったですか?」 なんて仕返しだと言わんばかりに少し意地の悪い質問を彼に投げかければ、
「なっ、ま、マルコ・・・・マルコの腕の中にっ、がっ!!!?」
「あー、すみません俺が悪かったです。冗談ですよ、可愛い冗談。」
「にはエース隊長の事しか言ってませんから。」 多少、からかうつもりで言ったそれだったけれど、エース隊長から返ってきたその反応があまりにも、その、俺の予想の範囲を遥かに超えた動揺であったから、何だか俺が悪い事をした気分になってしまいすかさずそんな言葉を返して。その動揺の所為なのか、(・・・俺の冗談が過ぎた所為か、) エース隊長の振動が伝わってしまったようで、「 う、ん、」なんてエース隊長の背中から、そんな声が聞こえてきた。
「っ、? 起こしちまったか?」
「 エース、たいちょう?」
瞬時に聞き取ったエース隊長は後ろを向きながら、バツの悪そうな顔でにそんな言葉を小さな声で呟いて。そんなエース隊長の言葉にも反応して、舌足らずにも隊長の名前を呼んで。けれどやっぱりまだ眠たいのだろう、エース隊長の体温がにとってえらく心地よいらしく、ゆるりと顔を起こしただったが、すぐに隊長の背中へとまるで子猫のように顔をすり寄せて、
「 ふふ、 えーす、たいちょ、」
「っ!!!」
最後に爆弾を放ったはそのまま再度夢の中へと旅立ったようで。ああ、またエース隊長があたふたするぞ、なんて思っていた俺だったのだけれど、目の前でのその寝顔を、愛おしそうに優しいその笑みを浮かべながらじっと眺めている隊長に、俺が驚いてしまって、
「(・・・・ああもう、この人達は)」
どうやら俺はお邪魔らしい。エース隊長よりも先に足を動かし始めた俺は、目の前にいるこの、どうしようもない、けれどそれでいて憎めない、というかむしろ見守りたくなってしまうその2人の隣を通り過ぎて、「俺、宴に戻りますよー。」 なんて自然と浮かべられた笑みをそのままに、言葉を放ったのだ。(「仲良く寝てくださいねー」なんて付け足していたら、今度こそエース隊長は顔を赤くしてあたふたしただろうか。)