「へへっ、3億の麦わら狙うよりもお前の方が倒しやすそうだと思ってな。」
「・・・まあ、それに関しては賢い選択をしたと思うが、」
悪そうな顔で聞いてもいないことをべらべらと話してくるその輩達。俺が相手をしなかったらしなかったで、きっと彼らはルフィの方へ行ってしまうだろうと思ったから、仕方なく俺は彼らへと身体を向けてゆるりと構えた。
「何だ、俺たちを一人で相手しようってのか?」
「・・・俺達の船長に手を出されては困るからな。まあ、君達が及ぶとは思わないが。」
「なっ、お、お前喧嘩売ってんのか!!」
「・・・真実を言ったまでだが。」
「こいつっ、黙ってりゃいい気になりやがってっ!!」
「野郎共っ、遠慮はいらねェ。やっちまえ!!」 そう声を張り上げて真正面からサーベルを持った輩が自分のそれを大きく振りかざして俺へと突っ込んでくるから、よくそれでルフィに挑もうとしたものだな、なんて呆れながら空いたその隙間に入り込んで鳩尾へと手を沈み込ませようとしたそんな時、
「ぐふっ!!」
「ん?」
俺が触れていないのにもかかわらず、目の前の輩は殴られたようなそんな声を出して。さらに言えば。鳩尾に手を沈み込ませただけでは吹っ飛ばないだろうと言うようなそんな距離を吹き飛んでいって。そのおかしさに思わず声を上げて辺りを見回そうと視界を広げようとすれば、
「 お前ェら、に何してんだ。」
語尾を上げる様子もなく、確信のあるような、いつもよりもずっと低いその声色で俺の耳に響いてくるのは聞き間違えるはずのない、
「 ルフィ、」
「 っ!どこに行ってるかと思ったら!!」
「探したんだぞ俺!」 奴等を見ていた目から、俺の声を聞いた瞬間、俺の視線を捉えた瞬間、その色は瞬時に消えて、怒っているのだけれどそれでも奴等を見ていた時のそれとは全く違ったその色を見せて、周りで狼狽えて動けないでいる奴等のそばを何をするでもなくスタスタと通り過ぎて俺の元に寄ってくるルフィ、に、何故だかどうしようもなく、愛しいなんて感情が溢れ出てきてしまって(彼の元に行かせないようにと、ここで始末しようと思っていたはずなのに。)
「?聞いてんのか?」
「 ふふ、聞いているよ。すまない、勝手にいなくなってしまって。」
「もう勝手に離れたりしないよ。 許してくれるかい?」 思わず浮かんでくるその笑みを抑えきれないままに、ルフィにそう伝えれば、眉間に皺を寄らせていた彼はその顔にようやく笑みを浮かべてくれて。
「よし、じゃあ許す!」
「 みんなが待ってるんだぞ!」 そう言って俺の腕をとって走り出す彼に、何の目的でここに来たのかを忘れてしまいそうになるけれど、きっと俺がここで止まろうとしたところでルフィの顔に浮かぶのは笑みではない事がすぐに判断できたから、
「 ほら、!早く行くぞ!!」
「ふふ、そうだね。」
こんな輩達の事はすっかり忘れる事にして、今目の前で笑って俺の手を取ってくれている我らが船長の事だけを考えておこうと思ってしまうのだ。