生徒会室でいつものようにパソコンに向かって事務処理をしていれば、「ここで勉強するからな!」 と問答無用なその言葉を生徒会室に響かせたのは、俺の後輩で・・・ああ、間違えた、俺の恋人である、エースであって。(まあどちらも間違ってはいないのだけれど、先日友人に紹介するためにそう言ったらひどく拗ねられた覚えがある)


「ほら、エース。君が勉強すると言ってここへ来たんだろう?」


勉強するためにここへ来たと言っていたはずなのに、彼は勉強のべの字すらする気はないらしく、というか教科書もノートも持たずに彼はここへと訪れたようで。まあ手ぶらでなんてそのような事は彼がここへ来た時から分かっていた事なのだけれど。・・・それから、彼がここへ勉強をするためにやってきたのではない、という事も、


「・・・んな事言いやがって。」


分かっているけれど、分からない、そんな振りをして彼に勉強するよう促しながらも、事務処理をしているそのパソコンからは目を離さないでいれば、彼は俺が“そんな振り”をしているのに気付いているのだろう、隣から聞こえてきたのは拗ねているような、そんな声で。


「おや、君が勉強したいと言ったはずだが。」


少しからかい過ぎただろうか、そう思いながらも、頬の緩みを抑えきれず笑みを浮かべながらそんな事を口にする俺。そうすれば、隣からは感じられたのは耳に響いてくるその声よりも先に、パソコンから思わず視点が逸れてしまうような、そんな衝撃で。

突然のその衝撃をもちろん俺がその場で受け止められる訳もなく、そのままソファに倒れ込むようにして何とかエースのそれを受け止めて。「  エース、」 俺の首元に顔を埋めて既にもう抑えが効かなくなったのか、俺の首筋へちくりと刺激を与えている彼、のその名を耳元で囁いてやれば、ようやくむくりと顔を上げて俺の目へとその瞳を合わせてくれて。


「    分かってんだろ、。」


「俺が、勉強なんかしにここに来てねェことくらい。」 先程の拗ねたその声はそのままに、少し口を尖らせながらそんな言葉を吐き出すエース。愛しい後輩君のそんな愛しすぎるその顔や、その声を聞いてしまえば、事務処理を全て終わらせようと思っていたそんな俺の予定は、脆くも崩れ去っていってしまう訳で(ああもう、またマルコに怒られてしまう)(まあ、怒られるのは彼も同じだが)


「ふふ、全く君は。」
「   、」


額に唇を、それから瞼、鼻、頬と順に落とされて俺の唇へと自分のそれを重ねる前に、まるで了承されるのを待っているかのように、耳元でその心地よい声を響かせて俺の名を呼んで。その声に扇情的なそれが押し出されているのは、それはもう明らかであって、これだから若い恋人というのは、なんて1年しか違わないのに妙に年老いたようなそんな事を思いながらも、俺の瞳は、身体は、彼のその色に呑まれているのだから、大概俺も仕方のない人間であって。


「   エース、」
「・・・何だよ、今更止めろって言われたって聞かねェぞ。」
「ふふ、止めるんだったら君がここに来た時に止めている。  それに、」


「そんな顔をされて、止めろなんて言える訳がないだろう?」 そんな言葉を放って彼の首へと自分の手を回して自らその唇へと自分のそれを重ねる。触れるだけの、けれど決して浅くもないそれに、エースは自分から仕掛けてきたというのに、瞬間きょとんとした顔を見せて。けれどその顔をしていたのはまさに瞬間であって、すぐにその顔には嬉しそうな、それでいて至極楽しそうなそんな表情を浮かべた彼は、


「そんなんじゃ、足りねェ、」


喉を震わせてそんな言葉を生徒会室へ、俺の耳へと響かせた彼は、そのまま俺の唇へと、先程よりもずっと深く入り込んできたものだから、俺はそれに応えるように、(ふふ、本当に俺も大概、)

勉強を教えてもらう

どうやら彼はそんな気など最初から無かったようで