「 、ここ違ってるよい。」
今日の課題は差ほど多いものでは無かったからそんなに時間も掛からずに終わり、2人で解答に間違いはないだろうかと互いのノートを見て確かめていたそんな最中、向かい側で俺のノートを見ていたマルコがそう言葉を放って俺のノートを指差した。マルコのノートを見ている限り、俺の書いた解答と違う所は見当たらなかったのだけれど他の場所だろうか、なんて考えながら自分のノートをのぞき込もうと、身を乗り出して、
「ん?どこが、間違ってっ!!」
口を開いてマルコに訊こうとしたのに、最後までそれを言う事はできなくて。言う事が出来なかったのが、目の前にいる、その彼が、俺の口を自分のそれで塞いでいたからだという事に気付いたのは、彼が自分の唇をぺろりと舐めて至極楽しそうに口の端を上げているのが視界に入って来たそんな時で。
「 マルコ、」
「ん?どうしたよい、?」
「・・・(なんて白々しい)」
急に何をしでかしてくれるんだ、そんな意味を込めて彼の名を呼んだというのに、呼ばれた張本人は隠す気もないらしいその笑みを浮かべたままくつくつと喉の奥で笑って白々しくそんな返事をしてくるだけで。しばらく沈黙の中、互いの視線を合わせたままでいたのだけれど、最初に折れたのは俺の方だった。
「 全く、君という人は、」
ソファの背もたれへと背中を思いきり凭れかけながら、深く息と共にそんな言葉を吐き出す。その間、少し瞼を下ろしていただけだというのに、テーブルを跨いだのかどうしたのか分からないが、彼はいつの間にか腰掛ける俺の目の前に立っていて。それから俺に驚く暇も与えないままに、彼は俺の身体を挟んでソファの縁へと両手を置いて、再度俺の顔へと自分の顔を近づけてきてその唇を震わせて、
「 2人きりでいて我慢できるほど、俺はできた人間じゃねェよい。」
「だから、 なァ、?」 なんて俺の口に自分のそれを重ねる直前にいつもよりも低い、その声を震わせて言ってきた俺の愛しいその人が、今更止めに入ったところで止めるなんてそんな事をしてくれるはずもない事くらい、重々承知な訳で。生徒会室で何をしているんだ俺・・・というか目の前にいる奴は、なんてそんな事が浮かばないでもなかったけれど、結局は目の前にいるその奴が愛しくて仕方がないのには何ら変わりはなくて(ああ、結局俺は)
「( マルコにどうこう言える立場でもないな、)」
言っても聞かないんだから仕方がない、そんな言い訳を自分にしながら、結局はマルコから落とされるそれを受け入れてしまうのだ。(それからにやりと、悪そうな、それでいて妙に艶めかしいその笑みを浮かべる彼を間近でみる事になる。)