「仕方がないだろう?こうでもしてないと凍えそうなんだ。」
「こんなもんで凍えるかアホ。ほら、あいつらと一緒に遊んで来いよ。ちったァ、体に耐性が付くかもしれねェぞ?」
「・・・勘弁してくれ。」
親指をぐいっとドアの方へと指して、その外で楽しく雪だるま作りやら雪合戦をしているであろうルフィ達に混ざってこいなんて、笑みを浮かべてそんな事を言ってくるサンジに白いため息を吐きながら切実にそう言葉を漏らす俺。「筋金入りだな、お前のそれは。」 なんてサンジの言葉に返すそれが見つからなくてただただ笑みを浮かべていれば、先程サンジが指していたそのドアが勢いよく大きな音を立てながら開けられた。
「うっはー!!寒い!!けど楽しかったなァ!!」
「おォ!ウソップのあの芸術は凄かったぞ!」
「うはは、俺はあれ以上の芸術品を作った事があるんだぜチョッパー、世の芸術家も目が飛び出るほどの芸術品をな!」(ふふん!)
「そ、そうなのかっ!?(すげェ!)」
「ん??、何だその格好?」
「・・・俺はルフィのその格好に疑問を投げかけたいが。」
バァン!と開けられたドアから入ってくるその風に巻き付けていた毛布をさらに引き寄せながら、顔を真っ赤にさせた3人へと視線を移した俺に不思議そうなその目を向けてくるルフィ。けれど俺からしてみれば・・・いや一般人の感覚からしてみれば、いつもと同じその服装のままで、雪で遊んでいる我らが船長の方が不思議だと思うのだけれど。(ほら、サンジだって俺の言葉に首を縦に振ってるじゃないか)
俺のその声が聞こえたのか聞こえていないのか、俺の隣へとドカッと座ってきたルフィは「あ!が温かそうなモン飲んでる!」 なんて楽しそうなその笑みを浮かべたまま、ルフィは毛布から出していたその手をカップごと包み込んできてくれて。真っ赤な手だったから冷たいのだろうとは予想していたけれど、思っていた以上に彼のその手が冷たかったものだから、俺は思わず体をびくっと思いきり震わせてしまった。
「っ!!」
「んん?どうした、?」
「・・・どれだけ君達は外で遊んでいたんだ?(冷たすぎるだろう、全く。)」
「んー?どれくらいだ、ウソップ?」
「うーん、どれくらいだろうな。起きてすぐに甲板に駆けてったからなー、」
サンジに出してもらったのだろうそのコーヒーを飲みながらとんでもない事を言いのけるウソップに、驚きのそれを浮かべながらもすぐに呆れその色へと変わっていく。それだけ遊べばこんなに冷たくなるのも窺える、なんて俺の両手を包み込んだまま、俺のそのココアを冷ますように息を吹きかけるルフィのその頬を見やりながらそんな事を思っていれば、「なかなか冷めねェな、このココア。」 としかめっ面で湯気の立つそのカップをのぞき込んだ。
「それはルフィの体温が低くなっているからそう感じるんだろう?」
「そうなのか?? ・・・じゃあこれは不思議ココアだな!!」
「・・・分かっていないだろう。」
ココアの所為ではないと言っているのに、俺の持っているそれを不思議なものだと断定してしまうルフィに深く息を吐いていると、両手を包み込んでいたその冷たい手は、何故だか俺のそのカップごと離れていってしまって。カップを取られたという事にもそうなのだけれど、冷たいその手だったはずなのに何故だか温もりが離れたように感じてしまった事に違和感を覚えながら、ルフィがそのカップをテーブルへと置いたのを見やる。「何をするんだ?」 そう言葉を紡ぎ出していると、あろうことに彼は俺が巻き付けている毛布の下からのそのそと入り込んでくる始末で。
「っ、ルフィっ、何をっ!!」
彼の冷え切ったその手が、その体が俺の肌に触れてくる度に、面白いくらいに反応してしまう自分の体を抑えきれないままに、彼にそう放つのだけれど、気付けば既に彼は俺と毛布の隙間にすっぽりと入り込んでいる状態になってしまっていて。
「 ルフィ、君は一体何を、」
「こうする方が、温かくなるだろ!!」
「俺はすっげー温けェぞ!」 彼よりも温まっている俺の体温を共有するかのように、彼は俺への背中へと腕を伸ばして、顔を首元へと擦り寄らせてそんな言葉を紡ぎ出してくるルフィ。持ってきたその毛布が少しばかり大きかったおかげか、ルフィが間に入り込んできても俺が彼の背中へと手を伸ばせば十分にルフィも包み込める程の大きさで。
体だって入り込んできたその冷気に、触れたその冷たさに分かり易いくらいの反応していたはずなのに、脳内だって寒さには耐えられないと信号を送っていたはずだというのに、彼のその愛しい笑みを見てしまえば、彼のその体温を感じてしまえば、
「 そうだな。こうする方が、 ずいぶんと温かい気がする。」
擦り寄ってくれる彼のその背中へと毛布を携えて腕を伸ばして、笑みを浮かべる彼のその身体を自身も笑みを浮かべて、包み込んだのだ。