エースを何とか振りきってを俺の部屋に連れてきて、起こしちまわないようにと思い部屋を出て行こうと考えたまでは良かったものの、ベッドへとの身体を下ろしたんだが、片手だけは重力に逆らうようにベッドに落ちない。つまり、の片手がしっかりと俺の服を掴んで離さないからそうなっちまっている訳だが。
「 、」
そう名前を呼んで手を離そうとするんだが、俺の声が聞こえてんだかそうでないのか、手は外さないまま俺の声に反応するかのようにその顔にゆるゆると笑みを浮かべて、終いには「マルコ、さん、」なんて俺の名を舌足らずなそれで呼びやがるから、 (これだから無意識ってやつは、)
「( ああ、本当にどうしようもねェ、)」
愛しい恋人にこんなことをされてそれでも手を離そうと考えるなんて事、もちろん俺にできるはずがなく。だがさすがにこの体勢のままというのもきついもんがあったから、今にも崩れそうになっているなけなしの理性を総動員させながら、自分のベッドだというのにそこへと音を立てないようにそっと潜り込む。
「 (・・・何してんだよい、俺は)」
肘をついてそれで頭を支えるような格好をしながら、静かに深い吐息を漏らす。けれどそんな風に自分が情けねェだとか思ったとしても、目の前で気持ちよさそうに寝ているの顔を見たら、それすらもどうでもいいように、まァいいかと思えてくるあたり、俺はもうすでにどうしようもなく、
「 ふふ、 マルコ、 さん、」
俺が見なけりゃ良いのにそれでもそこに目が行っちまう、妙に艶めかしく見えるのその唇に視線を釘付けにされていれば、そんな時に限って、こいつときたらその唇を妖艶に(少なくとも今の俺にはそう見えた)震わせてもう一度俺の名を呼びながら、俺へと身体を寄せてきて、胸元へと顔を寄せてきやがって、
「・・・ったく、( 人が抑えてるって時にお前ェは、)」
本当は起きてるんじゃねェのかと思わせるくらい、狙ったように俺の理性へと攻撃をしかけてくるのそれに、俺の理性は防ぐどころか、ガタガタと音を立てて崩れていく始末で。俺の我慢が足らない所為なのか、こいつが妙に色気じみている所為なのか、まあどっちにしろ、行き着く先は結局、
「 夜まで、待てそうにねェよい。」
そんな言葉を吐きながら、結局俺は、目の前に見えるその愛しい唇へと自分のそれを重ねちまったのだ。(・・・さて、何て言い訳をするか)(正直に話すのも、それはそれで面白ェかもしれねェ)