「 ん、」
「 ああ、起きたのかい?」
その妙な浮遊感を覚えると同時に聞こえてきたのは、俺の愛しい人の、マルコさんのその声であって。どうやらその声は俺の頭上から聞こえてくるようだったからゆるゆると顔を上げれば、ぼんやりと見えるマルコさんの顔。そして見えるその姿がマルコさんだという事は、目の前に広がるそのマークは胸元にあるという事を意味しているのだけれど、・・・俺は今、どんな格好をしているんだろうか。
「 マルコ、さん?」
「甲板で気持ちよさそうに寝てたんだが、」
「さすがに風邪をひくだろい。」 マルコさんから紡ぎ出されるその言葉を理解するのに、いつもよりも多く時間を要しながらも、マルコさんが俺を部屋へと運んでくれているのだという事だけは何とか脳内で弾き出すことができた。何だかとんでもない格好で運ばれているような気がしないでもないのだけれど、今の俺にはそれを考えるだけの意識がなくて。
「ふふ、マルコさん、」
「ん??どうした、?」
けれど意識しないでも伝わってくる、愛しくて仕方がないマルコさんのその体温に、俺はまた心地よさを感じてしまう訳で。そんな心地よさに眠りかけている俺の理性はもちろん敵うはずもなく。マルコさんのその言葉に誘われるように、彼の胸元へと猫のように顔を擦り寄らせて目を瞑っていれば、響いてきた、その愛しくて、心地よい声、
「連れていってやるから、寝てれば良いよい。」
「まァ、夜はどうだか知らねェが、」 なんてそんな言葉と、何やら至極楽しそうな笑みと共に額に降ってくるマルコさんの唇に、俺はふぬけたような笑みを浮かべながら、瞬く間に睡魔へと誘われていく脳内のストッパーをガラガラと音を鳴らして崩壊させていくのであった。