「 っ、 ・・・ゾロ、」
自分から歯を立ててきたくせに、今度は唇の隙間から赤いそれをちらつかせて、そこを癒やすかのように舐めてきて。それにすら反応を見せてしまう俺の身体に、ゾロはひどく色深い笑みを浮かべた。
「 そんな顔するんじゃねェ、」
「止まらなくなるだろ、」 口の端を上げてそんな事を言いながら、唇を俺のそれに近づけてくる。止める気なんてないだろう、そう言葉を返そうとしたけれど、そのあてつけさえも彼はあてつけと取らずに笑みを浮かべて「そうだが?」なんて言い返してくるだろうな、なんて事が容易に推測できたから、唇を震わせる事をやめにする。最も、今はそんな言葉を出そうにも出せない状況にあるのだけれど、
「 ん、」
掠れたような声しか出せずに、部屋の中にそれが響き渡る。絡め取られているのは口内であるはずなのに、全身が絡め取られるような感覚を覚えて、持って行かれそうになるのを必死に抑えるので精一杯だった。
「 、」
聡い彼のことだ、たぶん俺がすでになけなしになっているだろう理性を繋ぎ止めようとしている事に気付いているんだろう。重ねていたそれを一度ゆるりと離すと、視界に広がったのは若干顔をしかめてこちらを見ている彼の姿で。同時に聞こえてきたその声にも、少しだがそれでもはっきりと不満の色が含まれていた。
「・・・獣じゃあるまいし、そんなにがっつかなくとも良いだろう?」
別に嫌な訳ではない、けれど本能を覆っているそれが、最後の箍を外すまいとしているようで。それが人間としての当然の行為なのか、それとも自分の性格故の行為なのかは分からなかったが、とにかく俺の中の理性がそれを良しとはしなかった。乱れた息を整えながら、彼へとそう言葉を紡ぎ出すのだけれど、案の定というか、何というか、 俺の脳内の状況なんて、彼が配慮してくれるはずもない訳で。
「獣ね、 良いじゃねェか、強そうで。」
「・・・は? おい、ゾロっ、 」
あからさまに悪人面(・・・いや、世間一般でいったら彼も俺も悪人の部類なんだが)の笑みを浮かべながら彼が放ってきた言葉は、全く予想だにしなかったそれらであって。そんな言葉に俺はふぬけた声を出してしまいながらも、何とか彼の名前を呼んで言葉を返そうとするのだけれど、そう喉を震わせる前に、
「 大人しく喰われとけ。全部かっ喰らってやる。」
咽喉に噛み付く
「ま、俺は獣よりも強ェが。」 なんて言いのけた彼は、そのまま俺の首元へと獣の如く噛み付いた。
title by Seventh Heaven / 咽喉に噛み付く