静寂で包まれていた部屋の中で、水音が響くのは自分の体に妙な熱を持たせてしまう。いや、もう既に妙な熱とやらは持ってしまっているのだろうか、なんて残っているなけなしの理性でそんな事を思った。けれどそんな事を考えているうちにも、俺の唇へと重ねられている彼の唇は深く入り込んで来ていた。


「ん、  は、……何、ですか、シャンクス、船長?」
「   我慢できなくなったじゃないか、」


漸く離されたと思えば、吐き出されたそんな言葉。まるで俺の所為だと言わんばかりのそれに、俺に原因があるのかと考えてみるが、思い当たる節が見つからなかった。いつもどおりに寝る前の読書を楽しんでいただけなのに、急に襲いかかるようにしてベッドに沈めたのはシャンクス船長のはずだ。俺に非があるようにはどうにも思えない、脳内で思考を巡らせていればそれが彼に伝わったのか、俺の上唇を挟むように自分のそれで触れてきて、


「  誘っただろ?」
「・・・いつ、どこで、俺が誘ったりなんかしましたか?」
「今、ここで。」
「そんなつもりはっ、」


言っている最中で、塞がれてしまった。誘ったつもりなんて、微塵も無かった。というか本当に読書をしていただけなのに、どこに誘う要素があったというのだ?理由に関しては何も結局答えは見つからなかったけれど、今目の前にいる船長が俺に魅せているその色がひどく深いものだという事だけは、事実として俺の瞳に映っていた。


「   、」
「なん、ですか?」


するすると俺の頬、首へとその手を這わせて、鎖骨部分を何度か往復する。名前を呼んだかと思えば、その唇は船長自身の手が触れているその部分へと落とされて。ちくっと身体を走った一瞬の刺激に、俺は情けなくも身体をピクリと反応させてしまう訳なのだけれど。その反応に首元に顔を埋めていた船長はどこか嬉しそうに、それでも深めていた色を残したままに、俺の視界へと顔を上げてきて、


「我慢しようとしたんだが、  ・・・やっぱり、お前相手には無理だ。」


「理性なんて、これっぽっちも利かなかった。」 全く悪びれた様子もなく、そんな言葉を放ってきたシャンクス船長。に、けれども俺は、そんな彼にどうしようもない程に愛おしさを、誘った、誘っていない云々を抜きにしたって、彼がこうして俺を求めてくれる嬉しさが、


「  シャンクス船長、」
「ん、何だ?今更止めろだなんて言っても無理だぞ?」
「ふふ、そんな事、言いませんよ。」
「・・・?」
「止めてもらったら、その、俺も困ります、から、」 


だいぶ遠回しな言い方だと自分でも思ったけれど、これが精一杯だった。今だって顔から熱が発散できずにずいぶんとそこの体温だけ上昇しているように感じてしまっているのだ。彼に俺の意志が伝わっただろうかと、恥ずかしさが脳内を駆け巡っている中の一端でそんな事を考えながら、船長の返事を待っていたのだけれど、一向に彼からの発せられるその声が聞こえてこない。やっぱり伝わらなかっただろうか、なんて不安になり下へと向けていた視線を彼の方へと、


「あの、  シャンクス、っ!」


途惑っていながら彼の名前を呼んでいたというのに、再度途中で、けれど今度は噛み付かれるようなそれで塞がれてしまった。俺の中にあった理性をすべてなし崩しにしてしまうような、その口付けに、為す術もなくそれを受け入れる事で精一杯で、


「  は、あ、・・・しゃんくす、せんちょう?」
「そんな事言って、・・・全く、お前は俺をどうしたいんだ?」
「??あの、せんちょう、」
「 そんな愛しいこと言われたら、」


「  本当に、止まらなくなる。」 そう言った船長の顔は、いつもの余裕あるその顔とは違った、少し焦りの入ったように、俺には思えて、船長もこんな顔するんだ、なんて息やら熱やらが上がっているはずの俺はずいぶんとどこか冷静にそんな事を思っていた。けれど、そんな顔ですら愛おしく思えてしまうのは、たぶん、


「   、」
「(仕方のない人だなあ、もう。)  シャンクス船長、」


その名前を合図とするかのように、船長はまた唇を俺へと落としてきたから、俺はそんな事を思いながらも、彼に笑みを浮かべて、船長のそれを合図とするかのように彼の首の後ろへと腕を回したのだった。










絡まる足首

触れているどの部分からも、彼の熱を感じられるのが、堪らなく、






title by Seventh Heaven / 絡まる足首