部屋に響く、身体の奥底の何かを引き上げるようなそんな音。というか、俺は、俺達は先程までみんなと一緒に宴に参加していたんじゃなかったのか、なんて考えが浮かんでくるけれど、自分の体温がいつもよりも高く感じられる事から、ああ、飲み過ぎてしまったんだな、なんて事を靄がかかった脳内で理解する。
「 え、えと、マルコさん?」
けれど飲み過ぎた、なんて事を理解したところで、俺が何でこんな・・・ベッドの上で、マルコさんに押し倒されているのかは全く理解できない訳で。いや、俺が飲み過ぎている間に、何かをしでかした、ということぐらいは分かるのだけれど・・・(俺は一体、何をしたんだろうか。)
「 何だよい、?」
そう、彼の名前を呼べば、俺の首筋に顔を埋めていたマルコさんは不満そうで、けれど何だかひどく楽しそうな笑みを浮かべて、俺の方へと顔を上げてくれた。何をどう止めようと、これから逃れることができないなんて事は、・・・恥ずかしい話だけれど、今までの経験上、分かっている事なのだけれど、せめて、どうしてこんな状況になったのかを、俺が何をしでかしてしまったのかを知りたくて、マルコさんの返事に答えようと口を開くのだけれど、
「あの、こうなった、りゆ、 んっ、」
何だ、と訊ねてきたのはマルコさんのはずなのに、言葉を出そうと口を開いたその瞬間、それを待っていたかのような早いスピードで、その口の中にマルコさんの、舌が、入ってきて、俺が紡ぎ出しかけたその言葉は全て一緒に飲み込まれてしまった。
「 ふ、ま、マルコ、さ、」
いつもなら抑えられているはずなのに、まだ酒が抜け切れていないのだろう、マルコさんの唇が覆い被さっている俺の口の隙間から漏れ出るのは吐息だけで抑えきれなくて。自分のその声に、マルコさんの、全ての力を脱けさせるようなそれに、俺は顔に熱を集中させざるを得なかった。そんな俺に、マルコさんは艶めかしいその笑みを浮かべたまま、俺の唇から少しだけ離れて(1ミリでもどちらかがそちらへ動けば、触れるようなそんな距離だが。)
「 誘ってきたお礼は、たっぷりしてやるよい。」
「・・・謹んで、遠慮したい、気分なんですが。」
マルコさんのそんな言葉に、自分からどうやら何かいつもなら絶対しない、とんでもない事をしでかしてしまったのだと言う事が窺えて、いくら酒に強いからって飲み過ぎだろ俺の阿呆と過去の自分を罵りながらマルコさんに言っても無駄であろうそんな言葉を声に出す。けれど、返ってくるその答えは、もちろん、
「返品なんて、不可に決まってるだろい?」
その言葉と共に、降ってきたそのマルコさんの唇を、力が完全に脱けてしまった俺はそれを大人しく受け入れることしかできない訳なのだけれど、多分、いやきっと、俺がそれから逃れる力を持っていたとしても、
「良い夢、見させてやるよい。」
耳元で、身体にゾクリと感覚を走らすような、そんな低い声で、そう言葉を放ったマルコさんの、その唇に、笑みを浮かべて自ら唇を寄せていったのは、酒で酔っていた所為だということに、しておこうと思う。
ほろ酔い加減で誘惑す
・・・どうやら、ほろ酔いどころの話では、すまなかったようで(・・・俺は一体どれだけ酒を、)
title by 赤小灰蝶 / ほろ酔い加減で誘惑す