彼からのそれは規則も何もあったものじゃなく、いつも唐突で、まるで予測できない海に襲われるようで。けれど、それが俺にとってはひどく心地の良いものであったのだ。何故か、なんて聞かれても明確に答えを出せるわけではないが、きっと俺が、海もそうだが、彼を愛してしまっているからなのだろうと思う。


「   ん、」


今日もそんないつものように、ルフィからのその急襲を受けて、逆らうことなく受け入れている俺。逆らうなんて言葉を入れたけれど、ルフィのそれを拒んだなんて事は一度も無いわけだが。隙間から漏れ出る声に反応するかのように、その隙間を塞ぐようにして角度を変えてくる彼。重なるたびに耳に響いてくる音は、俺達をさらに煽り立てるそれでしかないのだけれど、


「   、」


身体に染み込んでくるその愛しい声には、到底敵わなくて。


「  ルフィ、」


そんな声に俺も彼の名を呼んで返答すれば、吸い込まれるようなそんな瞳を俺の瞳へと移してきてひどく愛しい、扇情的な笑みを魅せてきて。その瞳を、その笑みを見ているだけで、俺の中にあった何かが為す術もなく融かされていくようだった。

何かが外れる、融かされては、 脳内では大きな警戒音が鳴っているのだけれど、警戒音が鳴るだけで打開策が出てくるはずもなくて。いや、そもそも打開策を見つける事自体、俺の脳内では行われていないのかもしれないな、なんて自嘲にも似たそんな感情を抱いていると、彼の首の後ろへと伸ばしていた腕を彼にとられて、


「   ルフィ?」


どうしたのだろうか、そう思いながら訊ねるように彼の名を呼んだのだけれど、彼はそれに言葉で返してくることをしなかった。自分の首から外した俺の手を自分の手で包んだかと思えば、指先へと唇が触れてきて、


「  っ、ル、フィ?」


そんな彼の行動に、情けないほど俺の身体は大きな反応を見せてしまって。触れる、とは言っても日常で起こりうるような手と手が一瞬触れ合った、なんて可愛らしいものではなく。唇同士が重なる時とはまた違った音が響いてきて、俺を掻き立ててくるそれが入り込んでくるのを認識するだけで精一杯で、彼の名前を呼ぶ事しかできなかった。

一本一本、余すことなく触れてきたかと思えば、それに満足したのか何なのか、目の前でそんな事をしてくれたルフィは、今度は耳元へとその唇を寄せてきて、「  、」


「    好きだ、」


「  もっと呼んでくれよ、俺の名前、」 俺の身体を、脳内を、全てを満たしてくるその声に、大きな音を立てて崩れていく何かが、部屋中に響いた気がした。(ああ、彼も俺と同じように思ってくれて、)










視覚だけでなく聴覚をも魅了する

瞳を見つめられ、名前を呼ばれるだけで、






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