「ん、 」
脳内で今の彼の行動を処理して理解出来なくとも、それでもやはり脳内の根本では俺の意識なしでも行動をしているらしい。酸素が足りないと信号を出した俺の脳内に従うように俺は酸素を身体に取り込もうと試みるのだけれど、目の前にいる隊長はそんな事をお構いなしに自分の求めるままに俺の口を貪ってくる訳で。
「 、」
酸素を求める時に一緒に外へと出た俺のその言葉になっていないその声に、漸く俺の口から自分のそれを離してくれた隊長。俺の名前を呼ぶその声調からも、何か怒っているとかそんなのでは無い事は明確に分かった。けれどそれと同時に、抽象的な理由で、つまり衝動的にこうなってしまった時の隊長を止めるのは無理だという事も俺の脳内では弾き出されて。
「何ですか、エース隊長?」
どうしたんですか、なんて今更訊いても、返ってくる答えは何となくとかその類の答えである事はある程度予想がついたから、彼の衝動を止めるなんて無謀な事は諦めて、とりあえず彼のそれにつられてみる事にした俺は隊長の首の後ろへと自分の腕を伸ばして彼へと返事をした。
「 食いてェ。」
そう言葉を放ちながら、俺から視線を外した隊長は今度は俺の首元へと噛み付いてきて。前置きも何もなしに、紡ぎ出されたその直接的なその言葉。前置きというか何というか、もっと言い方があるんじゃないのかと思わせるようなそれ。けれどその言い方が、やはり隊長に合っているそれで、隊長らしいその言葉なんだと、今更ながらに感じれば、思わず俺は笑みを零してしまっていた。
「ふふ、 まったく、貴方って人は。」
「 何だ?」
目の前に広がるゆるりと曲がったその柔らかい髪へと指を絡ませながら声を出して笑えば、不思議そうにこちらへと瞳を映してくる隊長。けれどその瞳には未だに衝動のそれが色濃く残っていて。不思議そうなその瞳、というよりも待ちきれないというような色を見せているそれは俺の瞳とかち合った瞬間、先程よりもさらに距離が縮まっていて。
「 、」
これだけの事をやっておきながら、けれど隊長は俺の承諾を最終的にはいつもこうして俺の名前を呼ぶ事で得ようとしてくれる。そこにまた彼らしさを垣間見る気がして、愛おしさがこみ上げて来てしまい、俺は急襲をされたというのにもかかわらず、結局エース隊長のそれを全て甘受してしまう
訳で。(これだから、俺は隊長に甘いとみんなに言われてしまうのだけれど、)
「 まったくもう、貴方って人は、(本当に、)」
「今回だけですよ?」 何回使ったか分からないその言葉を彼へと紡ぎ出せば、隊長の顔には嬉しそうなその笑みが浮かんできて。「愛してる、」 唇を触れ合わせるだけのそれの後、お互いの息がかかる距離で愛しいその声で俺へと放たれたその言葉を脳内へ、身体へと響かせながら、再度唇を寄せてくる隊長のそれを俺はいつものように受け入れるのである。
沈む身体に広がる熱
その熱は、彼にもきっと伝わっているのだろう。
title by Seventh Heaven / 沈む身体に広がる熱