夏島の気候に入ったせいか、妙に身体に服がくっつくものだからどうにかできないものかと考え出したのはシャワーを浴びるという単純なそれであって。けれどやらないよりは幾分かましになるだろうと思い、冷水を思いきり浴びた後に服を着ずにそのまま浴室を出て甲板へと出ようとすれば、そこで船長に偶然会って。「あ、船長。」なんてふぬけた声を発していれば、船長は何を思ったのか俺の姿を確認するとすぐさま俺を抱え上げて自分の部屋へと連れて行ってしまった。


「・・・あの、キッド船長?」


船長のそんな突然の行動に為す術もなく部屋へと連れて行かれ、ベッドへと沈められた俺は天井を背景にして映る彼の瞳を見る事しかできなくて。どうしたんですか、急に。そんな意味を込めて彼の名前を呼べば、彼はそれを合図に俺の口を急襲してきて。


「う、」


それは読んで字の如く急なそれであったから、俺はまたもやそれに対処する術もないわけで。何とも情けない声を出しながら船長のその急襲の意を考えてみるのだけれど、やはりその答えは出てこない。船長がこんな事をするのは俺が何かをやらかした時くらいであるから自分の行動を思い返してみれば良いだけの話なのだが、思い当たる節がないのだからどうしようもない。


「せん、ちょう?」


やっと唇が離れたかと思うと、彼は俺の首元へと自分の顔を埋めてきて。目の前に広がるその赤々とした髪の毛を視界に入れながらそう呼べば、今まで一言も言葉を発していなかった船長がようやく口を開いて喉を震わせてくれて。


「   んな格好で出歩くンじゃねェ。」


「喰われたいのか、テメェは。」 首元にまで噛み付きながらそんな事を言ってくる船長。べろりと、髪の毛と同じようなその赤い舌でべろりと首筋を舐められて、「・・・もう喰われてるんですが、」 なんて近くにあった彼の耳の所でそんな事を紡ぎ出せば、彼は海賊らしいというか何というか、いかにも悪そうな顔をして俺の方へとその顔を上げてきた。


「お前がそんな格好で俺の目の前を通ったからだろ?」


「まァ、他の奴が通ったところでお前を喰う奴なんてこの船にはいねェがな。」 口の端を上げながら言葉を放って俺の方へと視線を合わせてくる。暑いからとシャワーを浴びてきたはずなのにこれではその意味が全くなくなってしまうどころか、再度入り直さないといけなくなるようなその行為。けれど船長にそれを言ったところで止める筈もないのは百も承知であるし、それに俺もきっと、


「   、」


返事など求めていない彼は俺の名前を呼ぶだけ呼んで再度俺の唇に噛み付いてきた。こうなってしまった責任であるらしい俺は、結局船長のそれに折れてしまい、その彼の行為に承諾するような格好で押しつけてくる船長の唇へと自分から深さを求めていってしまう訳で。最中に、閉じていた瞼を開ければ、至極楽しそうな瞳をした船長のそれが視界の全て覆い尽くしていていた。










貪るように求めた

それからどちらからともなく、互いに沈んで行くのである






title by Seventh Heaven / 貪るように求めた