「「ギャー!!!出たァー!!!!」」
森の中へと木霊した3つの声で木々がふるりと震えた気がした。探検だと楽しそうに言われて連れ出されたへと襲いかかってきたのは、3つの声のうちの1つであったのは、彼らが言っていたようにの下へとやってきた子ライオンの親であったようで。
「わっ、!」
「ギャー!!!が食われるぅうううっ!!」
大きな影がを飲み込んでいくのをウソップ達は目の前で見てしまい、再度大声をあげながら、もう目の前の光景を見ていられなくてロビンの後ろに身を潜めたウソップとチョッパーは二人してぎゅっと思いっきり目を瞑った。
「・・・あら、」
「あら、じゃねェよロビン!!何暢気な声出してんだっ、が食われっ、!」
少しの沈黙の後、最初に声を放ったのはとライオンから一度も目を逸らさなかったロビンであった。その声に反応するように、ウソップがびしっと指を達の方へと向けながら慌てるように言葉を返していると、
「でも見て、長鼻君。食べられたにしては、とても楽しそうよ?」
「・・・・へ??」
返ってきたロビンの言葉とその笑みに、ますます理解が出来ず、ぎぎぎ、とまるで機械のようにウソップの顔がの方へと向けられる。すると、彼の視界に広がったのはがライオンに食べられてしまっている、なんて何とも言い難い光景ではなく、
「んっ、ははっ、もう少し力を加減して飛びついてくれると嬉しいんだが。」
確かにライオンには押し倒されてはいるが、下に組み敷かれているは笑みを浮かべていたのだ。襲い掛かったライオンも、攻撃的な態度は一切見られず、むしろ子ライオンと同じようにに嬉しそうに鼻を首元へと擦り寄らせていて。
「・・・、お前ホントすげェのな。」
「??何がだい?」
「うっひゃー!でけェライオンだな!こいつもの友達かっ!?」
「ああ、そうだよ。この子とはよく一緒に散歩をする仲なんだ。」
「何故だか分からないけど、初めて懐いてくれた動物なんだよ、この子は。」 ライオンがに襲い掛かっていたのを上から見届けていたルフィも、いつの間にか木の上からライオンの背中へと降りてきて、楽しそうな声を上げながら体勢を立て直そうとしていると会話をする。ようやく警戒心が解けたのか、ウソップとチョッパーの2人もゆるりとライオンとの方へと近づいていった。
「・・・「は私達を傷つけない人間だってすぐに分かったから。」だって。」
「ん?このライオンがそう言ってんのか、チョッパー?」
「うん。ええと、「匂いが独特だったんだ、」って、・・・匂い?」
「何か動物たちにしか感じられない匂いでもあるのかしら?」
「んー?でも、おれには分からないぞ?」
の声に返事をするかのように、ライオンが楽しそうに吠える。すると、それを聞き取ったチョッパーが彼らに説明するように続けて言葉を放っていく。チョッパーの言葉を頼りに会話を続ければ、それを聞いていたウソップが何かを感じ取ったらしく、ふと、記憶を辿るかのように輪郭を指でなぞった。
「・・・ちょっと待て、確か匂い云々とか言ってた奴が他にも・・・」
「おおッ、お前もそう思うのかっ!?やっぱって違う匂いがするよなァ!」
「・・・ああ、やっぱりお前だったよな、ルフィ。」
ウソップがそう言葉を放った矢先に紡がれたのはルフィの声だった。ライオンの言葉に同意した彼は、ライオンの背中に乗ったまま、の方へと移動し、ライオンが擦り寄せている方とは別の、もう片方の首筋へと自分の顔を埋めてライオンよろしく鼻を擦り寄せた。
「ルフィ、お前それ、初めて森に行った時にも言ってたが、どう匂いが違うってんだ?」
「んー、甘い匂い??いや、ちょっと違うな、ううーん・・・どんな匂いだ??」
「いや俺が訊いてんだよ。」
「「美味しそうな匂いもするんだ。」って言ってる。」
「おォ!確かに美味そうな匂いはするぞ!」
「・・・ふふ、本当に食べないでくれると有り難いんだが。」
「それにしても・・・美味しそうな匂い、か、ふふ。」 そんな小さく呟かれたの声はライオンとルフィの会話が続いていたから誰にも訊かれる事はなかったが、の嬉しそうな笑みだけはこの場にいた誰もが(感情が顔に出ないにしては珍しく、)見る事ができた。
「ほら、そろそろ、果物を取りに行かないと。」
「んー、もうちょっとこのまま!なァ、ライオン!!」
「「いつもなら、もっと長くこうしてるぞ。」って言ってるぞ。」
「そうなのかっ!?ならもうちょっと良いじゃねェか!」
「な、!」せっかく上半身を起こして体勢を立て直したと言うのに、ライオンとルフィが未だに首元へと顔を力まかせに擦り寄せていたからか、の背中が徐々にまた地面に近づいていた。なんとか身体を支えながらそれとなく言葉を伝えようしたのだが、2人(正確には1人と1匹)共にその言葉は却下されてしまった。けれど、却下されたにもかかわらず、の顔に浮かんでいたのは、ひどく嬉しそうな、
「フフ、ずいぶんと懐かれたわね。」
「いやーまったくだ。」
ふと、その光景を見ていた彼らから感心するような口調で紡がれたその言葉。その当の本人はと言えば、ライオンとルフィを受け止めながら、隣でそれに加わりそうに見ていた子ライオンをしっかりと見ていたようで、その子に手を差し伸べて首元をゆるりと撫でていた。
「ふふ、そうだね、この子達とはずいぶんと仲良くさせてもらってるよ。」
「あー、いや、そいつらじゃねェよ。」
「??」
そんな事をしていた最中だったからか、ライオンの事だと思って返事をしたに、けれどそれに返って来た言葉は彼の予期していなかったそれであった。このライオンの親子でないとしたら、誰が自分に懐いてると彼らは言ったのだろうか。頭に疑問符を浮かべながら彼らの方から視線を逸らさないでいると、ウソップの指がすっと、自分達の方へと向けられて、
「そっちのライオンじゃなくて、こっちにだよ。」
そう紡がれた彼の言葉と、向けられた彼の指をよく見ると、自分達、というよりも、先程からライオンと同じように自分に抱きついている彼らの船長に向けられているような気がして。
「・・・こっちって・・・君達の船長に、かい?」
「おお、そっちそっち。」
確信を持てないままに言葉を紡げば、彼にあっさりと頷かれてしまった。長い間一緒にいる動物たちとの事を言っているのなら、何の疑問もなく肯定の言葉を告げる事ができるのだけれど、会って1週間程しか経っていない彼に・・・いや、そもそもライオンと同じような感覚で言って良いものなのだろうか?そんな考えが頭の中を駆け巡った、のだけれど、
「・・・そうなの、だろうか?」
彼が自分を好いてくれたのであれば、と自分の身体に伝わってくる温かさにそんな事を期待してしまって。
「おお、俺が言うんだから間違いねえ。」
やけに自信満々なウソップの言葉がの元へと飛んでくる。どこにもその確信はないのだけれど、彼と一緒に航海をしている仲間が言うんだから、とその言葉を鵜呑みにして信じてしまいたくなったのは、
「にししっ、に触れてるとなんか気持ち良いんだよなあ。」
溶け込んでくる彼の温度が、日向にいるみたいに温かくて、心地よいもので、自分がそれにずっと触れていたいと思ったからなのだろう。(・・・こんな感情は、初めてだ。)
森の中での大冒険
(ウソップ、見たか?)
(おお、ばっちり見た。があんなに分かりやすく笑うの、初めて見たな。)
(フフ、笑わせた当の本人は、彼に抱きついてて見てないみたいだけど。)
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