っ!お、おまっ、今、こめかみにっ!!」 あの戦闘が何事もなく終わりを迎えた後、何かが切れたようにシャンクス船長はそんな声を上げながら走り寄ってきてくれた。何で当てられた俺じゃない貴方がそんなに慌ててるんですか、なんて、そんな船長のあまりの慌て方に、思わずそんな言葉を紡ぎそうになったのだけれど、


「・・・あの、シャンクス、船長?」


船長の肩口に顔を押さえつけられてしまって、その言葉は外へと出る前に再び喉の奥の方へと沈んでいってしまった。他のみんなに助けを求めようにも、戦闘が終わるとすぐに、そそくさと船へと戻ってしまったのだからそんな事もできなくて。肩口からもそもそとなんとか顔を出して、船長の名前を紡ぐ事しかできないでいれば、


「お前は、ホントにトラブルを起こすのが好きだな。」
「・・・自分から突っ込んで行く事なんて滅多にないですよ。」


「なに人をトラブル好きみたいに、」 ようやく話しかけてくれたと思えば、聞こえてきた言葉は失礼なそれだったから、思わず船長と同じように深く息を吐き出しながら返事をしてしまう。俺だって巻き込まれたくて巻き込まれている訳じゃない。というか、誰が好き好んでこめかみに銃を当てに行くなんて事をするんだろうか。少なくとも、俺はそんな趣味を持ち合わせてはいない。


「・・・怪我、してないか?」
「いち早く俺の所に来て、体中触りまくって確認した人が何言ってるんですか。」
「いや、は隠すのが上手いからな、念のためだ。」
「・・・隠しても、すぐにそれに感付くのはどこの誰ですか。」


先程、銃が当てられていたこめかみにゆるりと触れるその指が、そっと、まるで脆い何かを持つ時のように、触ってくるものだから、船長の腕から離れるに離れられなくなってしまう。本当、心配性だな、この人は。なんて思いつつも、それを心地よいと思ってしまう俺も、本当に、仕方のない、


「・・・決めた。」
「はい?  え、何を、ですか?」
が出かける時は俺もついてく。」
「・・・はい?」


「そうすれば、俺が守ってやれるぞ!」 さっきまでの、ちょっとしんみりしていたような雰囲気はどこへやら。がばっと、急に両肩を掴まれ、船長と視線を合わせるように少しだけ身体を離されたかと思えば、響いてきた言葉は何とも・・・何というか、意味の分からない・・・いや、言葉の意味自体は分かるのだけれど、


「どうだ、!!」
「いや、そんな、名案だ、みたいな顔をされても、って、わっ、」


少年を思わせるような、そんなきらきらと輝いている顔をこちらへと向かせながら、嬉しそうに話す船長に、押され気味になりつつある俺は、なんとかそう返事をして。けれど、そんな俺の言葉が聞こえていないのか、聞いていないのか、再度、俺を抱き込んだ船長から聞こえてきたその声は、ひどく、楽しそうで、嬉しそうで、


「船員を守るのが、船長の役目だからな!」

蟀谷に貴方の指が、耳元に貴方の声が

、それは心配性じゃなくて、ただの過保護だ。」 なんて船に戻った後、そんなことを言われたのはまた別の話である。