「にしても、赤髪の奴にはいつ手を出す?」
「明日にでも決行するか。なに、すぐに片は付く。」
卑劣な笑みを浮かべてそんな事を言っているそんな輩達に、俺が蹴りを入れて戦闘を開始させるのに時間なんて要らなかった。
「ぐはっ、 う、」
「・・・もう終わりか?言葉であれだけ乱暴に言っていた割には、戦闘能力というものを持っていないな、君達は。」
「な、ふざけたこと、 っ!!!」
「ふざけたことを言っているのはどっちだ。」
頭に血が上っている、どこか冷静な様子で俺の微かな理性がそんな信号を脳内で出しているのだけれど、生憎俺はそれに答えるだけの収容力を今は持ち合わせていなかった。自分の尊敬している船長を殺しに行くだなんてそんなふざけた事を聞いて、聞かぬ振りをして戻るようなそんな事を俺ができる筈もなかった。
「船長を殺しに行くだと?」
「せ、船長って、お前まさかっ!?」
「遊び半分でもそんな事を言うんじゃない。もちろん、本気でもだ。」
「お、おい、こいつ赤髪のとこの、」
「まあ、君達が急襲したところで、船長がやられるなんてこと万が一にもないが・・・」
「・・・船長に指一本触れる前に、俺が消してやる。」
先程、ふざけた事を言っていた奴に脅しではなく本気でそう言葉を放ってやれば、何故だか分からないがそいつは意識を失ってしまった。それと同時に、俺の視界もだんだんと霞んでいっているのにようやく気付く。どうやら銃弾を一発喰らっていたらしく、右肩からドクドクと血脈が波打っているのが分かった。そろそろ片を付けなくては自分も危ないと判断した、そんな時、後ろから聞こえてきたのは、
「 お前はまた、独りで無理をして・・・」
「 、せん、ちょう?」
「なっ、赤髪!?」
後ろから聞こえてきたはずの声はいつの間にかすぐ横から発せられているような気がして。「 、」なんてその心地の良い声で俺の名前を呼ばれた瞬間、自分の体が担がれているのだという事に漸く気付いた。
「 船長、俺・・・」
「分かってるさ。 後は俺に任せろ。」
ぽんぽんと背中を優しくたたかれながら、紡がれる船長のその言葉に、俺の中でこみ上げていた本能のそれは徐々に奥へと沈み込んでいって。血を流しすぎたのだろうか、それと同時に意識も遠のいていくのが分かった。船長の背中に顔を擦り寄らせながら、薄らいでいく意識の中で聞いた彼の言葉に、俺はまた鼓動をドクンと高鳴らせたのである。
「俺の仲間を、 俺のを傷付けたのは 誰だ。」
目を閉じて見えるもの
その中で生じたのは開いても変わらない、その偉大な光であって
title by 赤小灰蝶 / 目を閉じて見えるもの