「どうだ、これが海ってモンだ。」
「・・・・うみ?」


こんなに綺麗な青色をしたモノを今まで見たことがなかったから、とても驚いたのを今でも覚えている。差し伸ばされたその腕を掴んで、初めて見たその色、初めて触れた親父さんのその温度。それは、今の俺にとって、とても愛しくて、大好きなものになっていて、


「そうだ、これが海だ。果てしなく、続いて、繋がっている。」
「・・・きれい、」
「グラララ!嬉しそうな顔しやがって!」


「そうか、お前は海が好きか。」 まだ小さかった俺を、自分の腕で抱え上げたままで、海へと感嘆の声を漏らす俺を、親父さんまで嬉しそうな笑みを見せてくれながら、大きなその手で頭を撫でてくれたのも、覚えてる。・・・それから、


「 このいろ、」
「ん?海の色がどうかしたか?」
「 このいろ、あなたの目のいろにそっくり。」


・・・それから、何だか、とても恥ずかしいような事を言った事も。でも本当にそう感じたのだ。俺へと視線を合わせてくれる親父さんのその瞳の色が、目の前に広がっている、見知らぬその海とやらに、その綺麗な色に、ひどく、似ていると。・・・けれど、その事を覚えているのは、偶然、記憶の端にあったから、なんてそんな軽い理由なんかじゃない。


「グララララ! ったく、嬉しい事を言ってくれやがる。」
「??」
、と言ったな?」
「うん、それ、ぼくの名前。」
「そうか、  、」
「うん?どうしたの?」


・・・こんな大切な日を、忘れるはずがないのだ。俺の、全ての始まりで、この大好きな海に出会って、好きになった始まりで、大好きな、愛しくて仕方がない、親父さんと出会った、親父さんを好きになった、


「俺の息子になって、この海を駆け巡るか?」



貴方が、俺の愛しい父親となった、そんな大切な、大事な日を。

巡り廻る、

愛おしい、大好きな貴方との、そんな始まりを。



title by 鴉の鉤爪 / 巡り廻る、(ざっくばらんで雑多なお題(日本語))