「グラララ! 相変わらず、そうやって海を眺めるのが好きだなお前ェは。」
「 あ、す、すみません、折角親父さんとお酒を飲んでいるのに、」
「いや、構わねェさ。」
「愛しい息子が嬉しそうな顔をするのを見るだけで、良い酒の肴になる。」 親父さんの声に慌てて海から視線を外して、親父さんの方へとそれを戻しながら言葉を紡ぐ。頭をくしゃりと撫でてくれながら、返ってきた親父さんの言葉に、申し訳ないと顔を歪ませていたはずの俺の顔が抑えも全く利かなく、ゆるゆると緩みだしてしまうのだから、俺も大概、現金な奴で、(そんな事を言いながらも、止められなくて。)
「 親父さん、」
「 どうした、?」
「俺、海がすごく好きです。」
「自由に揺れるこの海が、色々な事を引き起こしてくれるどこまでも続く、この海が、」 ぽつり、またぽつりと海へと、親父さんへ届くように言葉を紡いでいく。こうして夜にはその色を深くしたり、反射する光を常に変化させたり、違う海を魅せてくれるのも大好きだ。どこまでも果てしなく、けれどそうする事で世界中を繋げているこの海が、昔から、 そして、何より、
「愛しい貴方に、 親父さんに、 引きあわせてくれたこの海が、 俺は、」
恥ずかしさで抵抗がなかった訳ではない。けれど、脳内の整理がついた時には既に、その言葉を声へと乗せて唇を震わせていて。そして、これも自分で全く予想がつかなかったのだが、その言葉を紡いだ後、俺の顔には熱が集中するかと思ったのだけれど、俺の顔には何故だか笑みが浮かべられていた。たぶん、親父さんの事を思っていから、俺の顔には、 なんて考えながら、緩むその顔を抑えないでいれば、頭を撫でていた親父さんのその手が、背中へと降りてくるのを感じ取って、
「 わっ、」
「・・・ったく、どこでそんな事を覚えてきやがったんだか、」
「え? あの、 親父、さん??」
急に親父さんの胸元へと引き込まれて、ふと聞こえてきた親父さんのそんな言葉と一緒に疑問符を浮かべながら、胸元に埋まっていた顔を上げて親父さんの方を見やれば、俺と視線が合った親父さんは、「グラララ!」
「愛しい息子が、何とも嬉しい事を言ってくれやがるもんだから、」
「つい抱き寄せちまったんだが、 いけなかったか? 」 そう言って、見上げる俺の顔へと、頬へとするりと指を滑らせてくる親父さん。一応、疑問符は付けているものの、その質問に対する俺の答えが1つしか無い事くらい、親父さんも分かっているくせに・・・でも、親父さんが俺のその答えを求めてくれるのなら、俺は、
「 お前のその声で、答えを聞きてェんだ。」
一面に広がっているだろうその青い海よりも、深く、心地よく、愛しい親父さんのその声が、俺の身体へと、脳内へと融けていくのを感じ取ったから、俺は親父さんが求めてくれる、その声を、