夕食をいつものようにとっていれば、「おい!オヤジが呼んでたぞ!」なんて仲間の1人が俺にそう声をかけてくれたから、その言葉を理解した俺は急いで目の前にある食事を口の中へと放り込んで食べながらで失礼と思いながらも親父さんの元へと急ぎたかったから俺は咀嚼を繰り返すまま、親父さんのいる所へと足を速めた。


「グララララ!!お前ェはまったく、そんな急がんでも良いと言ってるだろうが。」


先程放り込んだそれを飲み込めていないうちに、親父さんの元へとたどり着いてしまった俺に親父さんは笑いながらそんな事を言って口の周りに付いていたのであろうその欠片を拭い取ってくれた。


「う、でも、親父さんに呼ばれたのに、そんなのんびりするのも、」
「まァ、らしいがな。 ほら、水飲め。」
「ありがとうございます。」


差し出されたコップを有り難く受け取ってその水で喉を潤してようやく落ち着く事が出来た俺は、いつものように大きな木箱の上へと乗ろうと手を掛けたのだけれど、親父さんが何故だかそれを止めるように俺の腕をやんわりと掴んできて。


「??親父さん?」
「お前ェ、彫ったんだってなァ?」
「  え、あ、はい。ついさっき、彫り師さんの所に連れて行ってもらって。」


タイミングを見失っただけで、彫りたいとは思っていたんですけど。 彫る、親父さんの口から聞こえたその言葉に、先程彫ってもらった刺青の事を言っているのだとすぐさまに理解した俺はそう言葉を付け加えながら親父さんに返事をしていく。俺の首に刻まれたそれは、紛れもなく親父さんを筆頭にマルコさんに、エース隊長に、ジョズさんにと、凄い人達ばかりが名を連ねているその偉大なる白ひげ海賊団のマークであって。


「にしても、何でまた首に彫ってもらった?」


「少しばかり、危ねェ場所だろう。」 そう言って、俺の首元へとその大きな手を伸ばして彫ってもらったばかりのその場所を優しくさすってくれる親父さん。その声調や俺を見てくる瞳、それから触れている偉大で優しいその手からも俺の事を案じてくれているのが分かって顔を緩ませずにはいられないのだけれど、でも俺がその場所にその偉大なマークを彫ってもらったのには譲れない理由があって。


「ふふ、俺がここに彫ってもらったのは理由があるんです。」
「ほォ?お前ェがそんなに顔を緩ませる程の理由があるのか?」
「・・・そんなに緩んでますか?」


笑みを浮かべながらその言葉を親父さんに投げかけた自覚はあったのだけれど、まさか親父さんにそんな事を言われるほど緩ませていたなんて。恥ずかしさから思わず顔へと熱を集中させるのだけれど、それでも俺は自分の顔の緩みを抑えきる事はできなかった。「あァ、緩みきってるな。」 なんて楽しそうに笑って返事をしながら俺の首元を撫でてくれる、その親父さんの手に自分の手を添えて笑みを抑えきれぬままに、俺は言葉を続けたのだ。


「貴方が一番触れてくれる場所が、ここだからです。」


「彫り師さんにどこに入れるかと聞かれた時、浮かんで来たのがここでした。」 自分から猫が擦り寄るように親父さんの手へと頬を寄せながらそんな言葉を紡ぎ出せば、親父さんはそんな俺の言葉に変わらずその顔に笑みを浮かべてくれていて。


「グララララ!まったく、俺の息子は愛おしい事を言ってくれるじゃねェか!!」


嬉しそうに特徴のあるその笑い声を上げながら、俺の自分の胸元へと抱き込んでくれた親父さんは、俺の首元を撫で上げて「まァ、彫ろうが彫らまいが俺の愛しい息子には変わりはねェが。」 なんて優しいその笑みを浮かべながら、心地よく響いてくるその声でそんな嬉しすぎる言葉を紡ぎ出してくれるものだから、俺は自らの顔を崩壊させてその愛しい親父さんの首へと腕を伸ばすのであった。

偉大なる貴方へ、溢れる愛をすべて捧げて

そんな俺の愛を、貴方はすべてをもってして受け止めてくれる。