今日も賑やかな、モビーディックの食堂。宴を開いている訳でもないのに、いつも宴を開いているような賑やかさになるのは、人数の多さと言うべきか、さすが海賊だと言うべきか。
そんな賑やかな食堂の中、俺はマルコ隊長の隣で酒を飲んでいれば、先程まで騒いでいる中にいたはずのの声が近くで聞こえて。ふとマルコ隊長の方を見れば、ふらふらとたどたどしい足取りでこちらへ向かっているの姿を俺の目が捉える。なんか顔が赤いが、そんなにもみくちゃにされたんだろうかと暢気な事を考えていたんだが、突然、がマルコ隊長の方へと倒れ込んでいくのを見て、思わず開いていた口をそのまま晒してしまった。
「 どうしたんだよい、?」
けれど、のそんな行動に驚いたのは俺だけだったらしい。急に倒れ込んできた、ああいや、急に抱きついてきたを、何を驚くでも慌てるでもなく受け止めて、首元に顔を埋めるの背中へと腕を回してゆるゆると撫でながらそんな言葉を放ったのはマルコ隊長で。
「(・・・何でこんな落ち着いてるんだこの人は、)」
相当な酒豪であるが酒に酔ってしまう事なんて、それほど見られるものでもないというのに、あやすようにしての頭を撫でているこの目の前にいる人は、何故だかそんな状態のにまるで何回も出会したかように、手慣れた様子で話しかけていて。いつもなら、目の前でいちゃいちゃし始める2人からすぐに目を他へと向けるんだが、今回は思わず視界に2人を入れたままにしてしまう。そんな事をしていると、案の定、酒をそらもう大量に含んだであろうその口をゆるりと開いたかと思えば、
「 マルコさん、」
「ん?どうしたよい、。」
「ふふ、大好き、です 、マルコさん。」
「(ぶはっ、) お、おい、、お前今日どうした?」
「・・・お前、汚ェよい。」 酒を飲みながらそれを見やっていたから、つい驚いた勢いで酒を吹き出してしまい、マルコ隊長にそんな事を言われながらも、俺の焦点はの方へと向いていた。何だ、酒の力ってのはこうも偉大な(?)もんなのか・・・?
普段、マルコ隊長がこいつの口から言わせるようにしてその言葉を聞いた事なら何度もあるが、こいつが自ら言った事なんて本当に片手で数える所しか見た事がない。いや、そりゃ2人きりの時なら何度も言ってるんだろうが・・・いやいや、考えるだけで酔ってくるからそんな事は置いといてだ、みんなのいる食堂でこうもがはっきりとマルコ隊長にそんな言葉を放つなんて・・・脳内で、そんな失礼極まりない事を考えながらへお言葉を紡げば、けれどはえらく不思議そうな顔で俺の方を見つめていた。
「??だって、今日は、そういう日、だと、」
「は? そういう日??」
から放たれた言葉に、俺はまた間の抜けた声を出してしまう。・・・そう言う日とはどういう日だ??マルコ隊長なら知っているかと思い彼の方を見やるのだけれど、どうやらマルコ隊長も知らないらしい。いつの間にやら、自分の足の上へとを乗せていたマルコ隊長は首を横に振っていた(・・・顔がにやついてますよ、ちょっと。)
「??バレンタインは、本来、愛しい人に愛しいと、言う日だと、 サッチさんが、」
「・・・ああ、サッチ隊長が(なんてアホな事を、)」
の口から最後に出て来たその名前に思わず脱力しながらその名前を繰り返し紡いだ俺。何を面白くしようとそんなアホな事を言ったんだあの人は、なんて思いつつ、なんでそんな嘘に騙されてるんだこいつは、と色々な意味で深く息を吐き出した。バレンタインがどんな日かぐらいも知っているだろうが、たぶん、うん、酒で思考が低下しているんだろう。(というか、の方がナースのみんなからもらったチョコの数が多かったからサッチ隊長はたぶん・・・)(ガキか、あの人は。)
「違うん、ですか?」
「・・・いや、それで合ってるよい。」
「・・・ちょっと、どさくさに紛れて何言ってるんですか、マルコ隊長。」
俺の脱力加減を察してそう言葉を出した、けれど俺が何かを言う前に、マルコ隊長がサッチ隊長の言葉に上乗せするように言葉を放ってきた。即座に思わず突っ込んでしまったが、マルコ隊長の言葉を聞いたのその顔が、を見るマルコ隊長の顔が(・・・こっちは幾分か不純な感じな気もするけど)えらく嬉しそうに緩んでいたもんだから、(・・・ああ、やだやだ。)
「 、」
「 ? 、はい、何で、っ!」
「 愛してるよい、」
とりあえず、俺は席を離れてサッチ隊長に文句でも言いに行こうと思います。