「??はい、何ですか、マルコさん?」
「 愛してるよい。」
「っ!!」
カラン、との持っていたフォークが食堂の床へと落ちる。まあ、この騒がしい食堂の中でフォークが一つ落ちたところで、視線が一気にそこに集まるなんて事はないのだが、それでもその近くで食べていた仲間達はそれに気付いてしまう訳で。・・・更に言えば、そんな俺もその気付いちまった1人に入るのだが。
「(・・・というか、この人は朝っぱらから何を言ってんだ。)」
フォークが落ちる前に俺の耳まで流れてきたマルコ隊長のその言葉に盛大にため息を吐きながら、空中で止めていたコーヒーカップを口元へと移動させる。温かいそのコーヒーで喉を潤して、目の前にいる(・・・何で俺はこのイスに腰を下ろしてしまったんだろうか)を見やれば、落としたフォークを取ろうともせず、マルコ隊長の言葉を聞いた時のまま固まっていて。
そんなの反応に、「(あー、こりゃそろそろ。)」 なんて俺が思っていたら、案の定、はその言葉の意味を漸く脳内で理解したのか、瞬時に発熱してるんじゃねェかって程に頬を紅潮させた。
「・・・っ、ま、マルコ、さんっ!!」
「(まあ、当然の反応だよなあ。)」
あまりの恥ずかしさからか、の口から何とか出て来た言葉は隊長の名前だけだった。まあ、時と場所を考えろと言いたいのだろう事なんてすぐに推測できる訳だが。怒っているのかただ単に恥ずかしいだけなのか、その顔をえらく真っ赤にしているの傍らで、そんなの反応とは対照的に、ひどく楽しそうな表情をして口の端を上げているマルコ隊長の方を今度は見やれば、
「俺は思った事を口にしただけだが?」
「何か、いけねェ事でも言ったかい?」 わざらしく、それはもう、これでもかと言わんばかりにわざとらしく、頬杖をつきながらへとそう訊ねた彼に、はといえば、「い、いけなくは、ない、ですけれどっ。」 なんてあたふたと隊長の視線に耐えきれなくなったのか、視線を逸らしながらそんな言葉を返して。
そんな反応するからマルコ隊長もついやっちまうんだろ、なんてに忠告してしまいたかったが、そんな事をしたところで、のそれが直るとも思わなかったし、何よりそれを言った後のマルコ隊長の反応が恐ろしくてしょうがねェから、そんな事はしないでおくが。(・・・何されるか分かったもんじゃねェ)
「 で、は?」
「え、あ、俺が、何ですか?」
「は、俺の事をどう思ってるんだって訊いてるんだよい。」
「 なっ、そ、それ、は・・・」
「・・・知っているくせに、ずるい、ですよ。」 恨めしそうに小さな声でそう言葉を紡ぐに対して、その反応が楽しくて仕方がないのか、愛おしくて仕方がないのか、隊長はというと、「 お前の言葉で、声で聞きたいんだよい。」 なんての耳元で浮かんでいる笑みをそのままに、ひそひそと囁いていた。
「(・・・そんな緩みきった顔しちゃって。)」
焦らす事も、急かすこともせずに、が自ら言葉を放ってくれるのを待っている時の隊長の顔ったら、敵さんに拝ませてやりたいくらいの緩みようであって。まあ、不本意ながらもこの光景に見慣れている俺達にとったら、マルコ隊長のその顔といったら呆れるそれでしかないのだが。
そんな事を思いながら、ぼーっと2人を眺めていれば、がようやく意を決したようにマルコ隊長の方へと視線を合わせて、「 俺が、マルコ隊長の事をどう思ってるのかなんて、そんなの、」 なんて言って、再度床に視線を落として。
「( 勝手にやっててくださいな、全く。)」
それから俺はの続けざまに出てくる言葉を聞きながら、生温く感じるようになってしまったそのコーヒーを再度口に含みながら、2人を視界から外すように、別の方へと視線を移した。(何が悲しくてこの2人のいちゃこらしてる光景を見なきゃならんのだ)
君が好きといえば丸くおさまる
の声が響き終わった後、今度は別の方向からフォークの落ちる音がした(・・・エース隊長、見ちまったのか)
title by 赤小灰蝶 / 君が好きといえば丸くおさまる