「あ、あの、マルコさん?」
自分が悪いと分かっている分、何て声を掛けたらいいか分からず彼の名前だけを呼んでみるのだけれど、返ってくるのは沈黙だけで。包帯を巻かれている俺の肩は敵に襲われて、適当にのらりくらりと交わしていたらそこら辺にあった箱に躓いてしまってその時に一撃だけくらってしまったものなのだけれど。(阿呆じゃないか、俺。)
「 、」
「、はい。」
「阿呆だろい。」
「・・・返す言葉もありません。」
ため息を吐きながらそう言ってきたマルコさんに俺が情けない声でそう返事をするとさらに深いため息が俺に返ってきた。エース隊長に言ってしまえばそれこそひどく叱られると思い、ナースのお姉さんに消毒液とガーゼと包帯をこっそり貰おうと目論んでいたところに、「・・・何してんだい。」なんて謀ったんじゃないかってくらいのタイミングでマルコさんが現れて今の状況に至る。
「あ、あの、マルコさん・・・隊長には、」
「言わねェよい。それに言っても意味がねェ。」
「ありがとうございます。(・・・ん?意味がない?)」
マルコさんの言葉に若干の疑問を持ちながらも、言わないと言ってくれたので安堵の息を漏らす。叱られるのも嫌だったけれど、隊長には心配をかけたくないのだ。一度、大怪我をして帰ってきた時なんかそれはもうひどく心配をしてくれて、もうあんな怪我を二度とするまいと誓ったほどだった。あの1件があった時から怪我という怪我もなしに過ごしてきたのだけれど、あんなドジなことで怪我するなんて・・・(本当に呆れてしまう。)
「(でも、怪我したのが肩だった事が不幸中の幸いだったな。)」
肩なら普段から隠れているし、痛みもそんなにないようだから違和感なく動かす事もできる。服を羽織って包帯の位置を確認していると、急にマルコさんに怪我をしていない腕を掴まれて彼はそのまま自分の方へと俺のバランスを崩させた。
「わっ、マルコさん?」
体勢を立て直すことの出来なかった俺はそのままマルコさんの腕の中へと倒れ込んで、そのまま彼に抱きしめられる。突然のことに驚いていた俺は彼に抱きしめられた状態のままで彼の呼ぶことしかできなくて。それでもマルコさんには伝わったようで、「あまり、心配をかけるなよい。」 なんて優しい声が耳元で聞こえてきた。
「 心配、ですか?」
「何も、お前の隊長だけがお前の身体を心配してるわけじゃねェってことだい。」
疑問符を浮かべながら返答すると、彼から返ってきたのはそんな言葉と、温かい抱擁であって。「 自惚れて、良いんですか。」 マルコさんの首元に顔を埋めて、恐る恐る彼の背中に手を回してそう訊ねると、「訊いてくるのが遅いんだよい、お前は。」 なんて嬉しすぎる答えが彼の口から額へのキスと共に返ってきた。(肩の傷が脈打っているのが嫌にでも感じられた。)
触れ合った先から伝わったものは
ふふ、マルコさん。あい、 (バァン!!)おい、!!お前、怪我したんだっ!!?! え、隊長!?そ、それをどこでっ!! ・・・だから言ったろい、意味がねェって さっきそこにいたおっさんに聞いたんだよ!つーか、マルコッ!!俺の部下を、しかもを何許可なしに抱きしめてンだッ!! ・・・許可が下りることがねェだろい。(しかもカルラ限定だろい、お前の場合。) ああもうっ!!もそんな簡単にマルコに抱きつかれてンじゃねェ!! え、あ、はい?(俺の意見は・・・?)
title by 赤小灰蝶 / 触れ合った先から伝わったものは