ルフィさんがさんを甲板に連れ出して一緒に釣りをしてから2時間ほど経ったでしょうか。紅茶を飲み終えた私は釣果はどうなっているだろうと2人の様子を見てこようとダイニングから席を立ちまして。てっきり私は、いつものように釣りに飽きてしまったルフィさんがさんを巻き込んで他の遊びをしているかと思ったのですけれど、
「おお、ブルックか!何だ、どうしたんだ?」
「・・・あ、いえ、その、お魚さんは釣れたかなあと思って訊ねにきたのですが、」
目を疑う、あ、いえ、私、眼球ないんですが!普段はあまり見ない光景が広がったものですから、思わず驚いてしまって、紡ごうとしていた言葉が途切れてしまいました。そこには、おそらく2時間前とほとんど変わらない体勢で、釣り糸を海へと垂らして魚を待っているルフィさんの姿と、ルフィさんの肩に頭を乗せて瞼を下ろして動かないさんの姿がありまして、
「それがなァ、まーったく釣れねェんだよ。」
「・・・さっきすっげェ魚泳いでたのによー、」 なんて残念そうに釣果を報告してくれたルフィさん。いつもなら、釣れなかったら1時間ほどで諦めてしまうルフィさんが2時間経った今も我慢強くその釣り竿を持っていて。・・・けれど、その理由は隣にいるさんを見てすぐに私にもピンときました。そんなお二人の様子に思わず私は微笑んでしまって、「ヨホホ、まあそういう日もありますよ。元気出してください。 ところで、」
「さんはお昼寝中ですか?」
「ん?ああ、そうだぞ。何か知らねェけど、急に寝ちまってよ。」
「何しても起きねェんだよなァ。」 さんの名前を口にすれば、つまらなさそうに尖っていたルフィさんの口元がゆるゆると緩んできたのが私の目に映ってきて。何をしても、とルフィさんは言うけれど、肩口に寄せられているさんの頭を撫でている手がずいぶんと優しいそれである事にもちろん私は気付いていて。
「ルフィさんは一緒にお昼寝なさらないのですか?」
「おう、俺いま眠たくねェからな。 それに、」
「いま動いたらが起きちまうだろ?」 紡がれたその言葉に私はまた頬を緩めてしまいました。このように、本当に仲の良い2人なのです。もちろん、私達みんな仲の良い素晴らしい海賊団ですが、中でもルフィさんとさんは仲がよろしいのですよ!それこそ、皆さんが呆れてしまうほどにいつも一緒に過ごしています。 けれど、いつ見てもお二人は飽きることなくお互いを見ては嬉しそうに笑って、自分の腕を相手の方へと伸ばすものですから、
「ヨホホ、ルフィさん、なんだか楽しそうですねえ。」
「にししっ、楽しいぞ!」
無邪気な顔で眠るルフィさんを隣で支えているのはいつもさんの役目でしたけれど、今回はその立場が逆転していまして。 けれど、寝ているルフィさんをさんが嬉しそうに眺めている時と同じように、幸せそうに顔を緩めているさんの寝顔をルフィさんも、 「ししっ、釣りはつまんねェけど、」
「を見てるのが楽しいからな!」
「笑ってるけど、何か楽しい夢でも見てんのか?」 なんて、ルフィさんはとても楽しそうな笑顔でそんな言葉を紡いで。ヨホホ!何だか良いですねえ、こういうの。何だか私まで幸せな気持ちになって来ます。お二人は自分が眠ってしまっている時ですから、お互いの顔を見ることはできないのですけれど、それでもきっと、その時の気持ちはいつもお二人が一緒にいる時と変わらないのでしょう。
「ん、 るふぃ、?」
「お、起きたのか?」
ルフィさんの楽しそうなその声音に反応したのでしょうか、まだ眠たそうなさんの声がしたかと思ったら、さんは目を擦りながら肩に寄せていた身体をゆるゆると起こしまして。自分がルフィさんに凭れて眠ってしまっていた事に気付いたのでしょう、「すまない、釣りの途中で、ねてしまって、」と、たどたどしく言葉を紡いだのですが、その言葉を受けた本人は、
「なんだ、まだ眠ィなら寝てて良いんだぞ?」
「 ほら、。」 なんて言って、ゆるりとさんの肩を捕まえて、自分の身体へと引き寄せると、眠気を促すようにとん、とん、と心地良いテンポで背中をあやすように撫でて。さんの愛して止まない(とさんが自分で言ってました、ヨホホ!何だか声に出して言うと照れますねェ!)ルフィさんに、そんな事をされれば、もちろんさんの頭は再びゆっくりと、ルフィさんの肩へと寄りかかっていって、
「ふふ、すまない、 ルフィ、」
「んん?何だ、?」
船縁に腰を降ろしていますから、ルフィさんに凭れて寝ているさんも、そしてそれを支えているルフィさんも少なからず危ないはずなのに、お2人なら大丈夫かな、なんて思ってしまうのは・・・ヨホホ、でもきっと私に限らず、他の皆さんも危ないと忠告はしながらも、
「 おやすみ、ルフィ、」
「にししっ、おう! おやすみ、。」
ヨホホ!それでは、お2人と素敵な一時を過ごした、私ブルックからのお話でございました。
アヴェ・マリアの子守唄
その後、また様子を見にいきましたら、2人仲良く寄り添ってお昼寝中でした。
title by Lump / アヴェ・マリアの子守唄(Middle)