「 ・・・、(本当に、彼は、)」


身体の全てで彼の放った覇気を感じる。以前も何度か感じた事のあったそれは、けれど今までよりもずっと成長したものだった。相手の本能を脅かす力を持つはずのその色の覇気、でもそれが俺の身体にひどく心地よく響いてきて、落ち着くような感覚を覚えたのは、  きっと、放ったのが、


「 (  ルフィ、)」


海賊王になるのは自分だと宣言した彼の背中を眺めていると、不意にその背中へと手を伸ばして抱きついてしまいたい衝動に駆られる。今まで以上にその背中に隙ができることなんて無くなるのだろう、よりいっそう頼もしくなったその背中は、けれど仲間内には隙だらけで、(そこがまた、彼の素敵なところなのだけれど、)(・・・ああ、もう、)


「(ほんとうに、 ) 好き、だなあ、」


隙だらけの時の彼と頼もしい時の彼とを思い出していると、それだけで彼への溢れんばかりの思いが俺の中を駆け巡った。その背に俺の全てを捧げることのできる程に心酔しきっている俺を、彼は好きでいてくれているのだと思うと、


「・・・おい、、」
「 ん?何だい、ゾロ?」
「何だじゃねェよ・・・口から言葉が漏れてるぞ。」


「・・・そこは相変わらずだな、お前は。」 呆れるような声音で続けるようにして紡がれたゾロのそんな言葉。どうやら俺は心で思っていたはずの事を知らないうちに声に出してしまっていたらしい。言葉が口から出てしまっていたのだ、顔もきっと緩みきって情けないそれになっていたに違いない。言葉が出ていた事よりもそんな姿を晒していたのかと思うと少々恥ずかしさが募って、苦笑しながらその顔を下に向けようとした、そんな時だった、


「  っ!」
「うっ、わ!」


名前を呼ばれ顔を元の位置に戻そうとした瞬間に俺の身体に走った衝撃。驚きながらもその衝撃をしっかりと受け止めたのはそれが彼から来たものだと分かっていたから、(ああもう、また、顔が、)


「ふふ、どうしたんだい、ルフィ?」


緩んで行く頬はつり上がってくれないまま、俺に勢いのままに抱きついてきた我が船長へとそう声をかけると、嬉しそうに俺へと視線を向けてくれるルフィは、「にししっ、」


「俺も、の事大好きだぞ!」


なんて、嬉しい事を言ってくれて。ぽつりと零れたと思っていたその言葉はどうやら本人にもしっかりと届いていたようで。それ程までに大きな声だったのか、それとも小さい声を彼が聞き取ってくれたのか。後者であればそれはもう嬉しい限りだけれど、でも、こうして彼が俺に大好きだと返してくれたという事だけで、もう堪らないのだ。愛しくて、どうしようもないくらいに、 だから俺も我が船長であるルフィに、


「俺も、ルフィの事が、  」

満たす肌

その愛おしさを少しでも多く伝えられるように、俺は喉を震わせ、腕を彼の方へと伸ばしたのだ。



title by Light sky / 満たす肌(身体的な10題)