「(・・・彼は、どこだろう、)」


2年前に踏んだこの地を再度踏むことが出来たこの日、俺はサニー号に一度足を運んでから、けれど俺は待ちきれなくてまた街の方へと繰り出していた。入れ違いになる可能性もあったけれど、それでも何かせずにはいられなかったのだ。


「ん?(あっちが何だか騒がしいな。)」


今の俺達の状況を考えれば、いくら何でも自ら目立つところには行かないだろうとは思ったけれど・・・目立たないようにしても何故か巻き込まれるか、自分から巻き込んでいくかで目立ってしまう彼の事だ、探すとしたらあの騒がしい場所が見つかる可能性は一番高いのかもしれない。


「(・・・行って見るか、)」



それから俺は海兵も向かっているその場所へと足を進めたのだ。ようやく会えるかも知れないという、大きな期待を抱きながら。そして、その方向へと歩を進めていくと、先程までは聞こえなかった銃声や爆発音が耳を劈いた。これでいなかったら骨折り損も良いところだな、なんて苦笑を浮かべてしまいながら見えてきた人混みへと入って行こうとした、そんな時、次に俺の耳を劈いたのは、

俺の全身を駆け巡ったその感覚は、


「   っ!!」


ほぼ反射的に離すまいと腕を伸ばしたその感覚は、2年前に感じたきりの、強くて、心地よくて、愛しいそれで。2年前よりもすべてが大きく、増しているような気がして、取りこぼしてしまわないように、彼の全てを感じていたくて、俺の全てで受け止めた。それから、その愛しい、愛しい名前を、


「  ルフィっ、!」


やっと、やっと、彼に俺の声が届く場所で、彼の名前を紡ぐことができた。彼の名前を口にすれば、本人から返事がくるその距離で、ようやく。


「んははっ、っ、くすぐってェよー!」


「髪の毛が首にっ!」 なんてルフィはどこか楽しそうに言葉を紡いだ。けれどそう言いながらも、彼も俺の背中に回した腕を緩めるつもりはないようで。俺と同じように首元へと顔を埋めて、俺とルフィの間に空気すらも入り込まないように、互いの体温だけを確かめるように、


「   ルフィ、」
「んん?何だ、?」


彼に会ったら、何を言おうかずっと考えていた。どう言葉を切り出すか、どれから話せば良いのか。でも結局、最初に出てきた言葉はやっぱり彼の名前だったのだ。彼の名前を呼ぶだけで、彼の俺の名前を呼ぶ声を聞くだけで、あれだけ悩みながら考えていた言葉は脳内から、俺の身体からすべて溢れ出てしまって、何とか脳内に残っていた言葉は、たった一言で、 「  ルフィ、」


「  おかえり、 ルフィっ、」


手を精一杯に彼へと伸ばして、しっかりと強く彼を抱きしめた。首元に埋めながら何とか絞り出したその言葉は、明瞭とはかけ離れてしまった声だったけれど、我らが船長は、たとえ精神的に、身体的に強くなっても根本的なものはやっぱり2年前の彼のままで、俺の声をしっかりと聞いてくれていて、「にししっ、おおっ!」


「ただいま、っ!!」

君の存在を示すぬくもり

変わらない優しさで、俺の全てを抱きしめてくれたのだ。



title by White lie / 君の存在を示すぬくもり(まったりした五題)