決して誰よりも大きい、とは言えない彼の背中。でも、彼の背中は誰よりも大きいと俺は思う。いや、実際、彼よりもフランキーとか、ゾロとかの方が筋肉云々で言ったら彼よりも断然大きいだろう。けれど、俺が言いたいのは、そういう、物理的な大きさではない。
「ん? 、どうした?」
どうやら、俺は結構な時間、彼をじっと見てしまっていたらしい。俺の視線に気が付いた我らが船長であるルフィは片手に釣り竿を持ったまま俺の方へと振り返ってそう声をかけてくれた。その彼から紡ぎ出る言葉1つにとってもそうだ。すべてが素直で率直で、その言葉の裏、なんてものを考える必要のないその言葉を、彼はいつも紡ぎ出してくれる。
「?? ?」
「ん? ああ、いや、何でもないよ。 ただ、うん・・・ただ眺めていただけなんだ。」
「・・・ほんっとーに、何でもないのか?」
そんな事を考えていたからか、ずいぶんとまたルフィに返答するのが遅くなってしまった。その所為か、それとも彼の勘によるものなのか、いつもなら仲間の言葉に疑いというものを持たない彼が、俺へともう一度、そんな言葉をかけてきた。あからさまに疑っています、と言わんばかりに目を細め、俺を見てくるルフィに苦笑しながら、誤魔化す程でもなかったか、と言い直す事にする。「ふふ、いいや、ただね、」
「 君が ルフィが好きだな、と思っていただけなんだよ。」
先程視界に映していたその広い、大きい背中も、疑う、なんて事をしなくても良いその素直な言葉も、全ての感情が顔に出る、その純粋さも、 抱きしめてくれる、その腕も、 身体に伝わってくるその温かさも、全て、
「ルフィ、抱きついてくれるのは嬉しいんだが・・・もう少し勢いを殺してくれると有り難かったかな。」
「にししっ!嬉しかったんだから仕方ねェ!!」
「ふふ、何だいそれは。」
船縁に座っていたハズのルフィは瞬きを一度する間に、腕を伸ばしてきて勢いよく俺へと抱きついてきた。もちろん彼自身を受け止めはしたのだが、勢いだけはどうにもならなくてそのまま芝生へと自分の背中を押しつける羽目になってしまった。その格好のままルフィに言葉を紡げば、耳元で紡がれたその声はひどく嬉しそうなそれで、つい、その声につられて俺も笑みを零してしまう。
「ししっ、なァ、!」
たぶん、皆もそうなのだ。彼の何かしらに惹かれたのではなくて、彼の全てに惹かれたんじゃないかと。ふふ、そういう事を口にする事をほとんどしない仲間が多いけれどね。でも、きっと彼らもそうなんだと思う。 「ん?何だい、ルフィ?」
「俺も、の事が大好きだぞ!」
「すげェ好きだ!」 そう、本心から言ってくれる、我らが船長の事を、皆は、 俺は、
最愛たる君へ
本当に、君のすべてが大好きだよ。 なんて言えば、彼は俺の全てを抱きしめてくれて
title by Lump / 最愛たる君へ(short)