ブルックの弾くヴァイオリンの音ではないけれど、俺の耳に響いてくるのは音楽にも似た、そんな心地よい声で。響いてくれば、無意識のうちに抑えていた枷のようなものをすべて融かされていくような感覚に陥って、けれどそれは、決して悪いものではなくて、


、」


身体を包み込んでくれるその体温も、もちろん心地の良いものなのだけれど、彼はもっと、俺の奥底から、根本的なものから、俺の総てを包み込んでくれているような気がしてならなくて。彼はきっとそれを意識することなくやっているのだろうけれど、それが俺にとって、ひどく嬉しくて、愛しくて仕方のないのだという事も、たぶん、(後者は、無意識かどうかは判断しかねるが、)


「あったけェな、。」
「俺は、君の方が温かく感じるが、」
「んー、そうか?俺はの方があったかく感じるぞ?」


先程視界に映った深く、青いその海のように、彼は俺を抱きしめてくれて、受け入れてくれて。けれど、海とは違って、その心地よい感情を何の躊躇いもなく俺へと伝えてくれるルフィを、俺はどうしようもないくらいに、


「ルフィ、君は能力者なんだから、海に1人で飛び込んだら駄目だろう?」
「1人じゃねェだろ?がいたじゃねェか。」
「  いや、それは、そうなんだが、」
がいたら、大丈夫だ!な??」


無条件に差し出されるその手に、最初から戸惑いなんてなかった、と言ったら、嘘になるけれど、でも、戸惑うという事は、俺の中に確信めいた何かがあったから、そんな動作を引き起こした訳で。(大丈夫だと確信めいたそれと、躊躇するそれとが、葛藤していたから、)(結局、俺はそれを自分で決める前に、彼の腕に引き込まれてしまったのだけれど、)


「  海の中って、きれーだよな!美味そうな魚もすげェいるし!!」
「ふふ、そうだね。海の中は、 すごく、綺麗だよ。」


深海へと溶け込むような、それと同時に太陽の光へと引っ張り上げるような感覚が俺に襲ってくる。 それが、矛盾している感覚だということくらい、分かってはいるのだけれど、彼は、そんな矛盾した気持ちさえも俺の中へと作り出して、それを受け入れさせてくれるのであって、


「さ、ルフィ、風邪をひかないうちにお風呂に入ってしまおう。」
「えー、もうちょっとこのままでも良いだろー?」
「いや、だから風邪を、」
「俺は風邪なんかひかねェ!!」
「(・・・妙に説得力があるのは何故だろう。)」


温かくて、俺の中には収まりきらなかったその感情へと、彼は触れてくれて、俺の中にあるものと一緒に溢れ出ているそれごと、全部抱きしめてくれる。そんな俺に触れて、ひどく心地よさそうな笑みを浮かべてくれる彼は、それから俺へと、たくさんの、ものを、


「な、!だからもうちょっとだけ、このままでいろ!!」


だから、俺は、聞こえてくる愛しいその声に、抗う事なんて、一生できやしないのだ。

深海の階層

その声が、深海へと溶け込む太陽の光のように、俺の中へと融け込んでいくから、



title by 鴉の鉤爪 / 深海の階層(ざっくばらんで雑多なお題(日本語))