「ん??どうした、?」


ゆるりと、見えていたルフィの背中に、気付いたときには腕が伸びていて。聞こえてきた彼の声に、自分でも何故急にこんな事をしたのか分からなかったから、けれどその体温を逃したくもないと思ったから、回していた腕を緩めることのないままに、「すまない、もう少しこのままでいても構わないか?」 と彼の求めていた返答とは逸れた言葉を返してしまう。


「おう!かまわねェぞ!!」


にこうされると、気持ちいいからな!」 けれどそんな俺の言葉に、不思議そうにしていたその顔はすぐに嬉しそうな笑みへと変わってそう返事をしてくれるから、俺も思わず笑みを零しながらありがとうと言葉を紡ぐ。


も、そうか?」


こんな感情を覚えたのは初めてだなんて言うつもりはないけれど、それでも今までのそれとはどこか違うものが同時に溢れてくるのを感じるのだから自分の身体だっていうのに、本当に不思議に感じてならなくて。けれど、その不思議な感覚は、決して不信感を持つようなものではなくて、もっと浸かりたいと、思うような、


「ああ、ルフィにこうしていると、ずいぶんと気持ちが良いよ。」


触れている所から流れてくるその心地よさを感じる事が、いつの間にか当たり前になっていて、それがないと何だかもの足りないなんて感じてしまうような身体になってしまっていて。


「にししっ!そっか!!」
「ふふ、そうだよ。」


視界に広がっていた彼の背中がふわりと動いて、次に俺の瞳に移ったのは笑みを浮かべていたルフィの顔であって。くるりと俺の中で身体を器用に回したルフィは俺と同じように背中へと腕を伸ばして、自分の方へと引き寄せて、


「 、もっとこっち、」
「 、ああ。」


抱きしめていたはずなのに、いつの間にか抱きしめられていて。同時に、先程よりも溢れ出てくる愛おしさが止まらなくて、零れ落ちるのを感じるのだから、そんな自分の身体に思わず苦笑を漏らしてしまう。これが彼にも伝わっているのだろうかと思うと、何だか恥ずかしいやら嬉しいやら。けれどそれが伝わっていて、彼が心地よいと言ってくれているのなら、


「  ルフィ、」
「ん?何だ、?」
「好きだよ、ルフィの事が。」


溢れ出る声を抑えきれずにふと口に出してしまったその言葉は、しっかりとルフィへと届いたらしい。空気すらも入り込めないんじゃないだろうかと思うくらいに、触れ合っていたはずの身体は、けれど彼がまた回していた腕を強くしたものだから、重なり合って、一緒に融けて合ってしまうような感覚に陥った後、俺の耳へと、脳内へと響いてきたのは、 


「俺も、の事が大好きだぞ。」

バニラ味の抱擁

それは甘すぎて、融けてしまうような(それでも悪くない、なんて思えてしまう辺り、俺は、)



title by farfalla / バニラ味の抱擁(待ちわびた音色)