「っ!!これをたためば良いのか?」
「ああ、お願いするよ。」
美味しい3時のおやつを食べた後、そろそろ良い具合に乾いてきた洗濯物を取り込もうと吊してあるものを取っていれば、ナミにでも怒られたのだろう、ルフィもようやく働きだしてくれた。(きっと泡で遊びすぎて、ナミにもかかってしまったとかそんな類のことであろうけれど。)
「ウソップ、ここの紐を外してくれるかい?ここは全部終わったから。」
吊してある数本の紐が結ばれているマスト付近で服を取り込んでいたウソップにそう声を掛ければ、彼はそれに気付いてくれてマストの紐へと手を伸ばしてくれた。「ありがとう、」 そうお礼を言って、ルフィが座ってたたんでいる方の紐へと近づいて大きなシーツを取ろうとしたそんな時、
「おー、ここだな。よいしょっと・・・・あ、1本間違えた。」
「うわっ!!」
ウソップの方から何やら声が聞こえたかと思ったら、目の前にいたルフィがシーツの中へと消えてしまった。「おお、こっちだった。」なんて暢気な声を出しながら正しい紐を解くウソップに苦笑を漏らしていれば、前からは未だにシーツから抜け出せていなくて寝転びながらぶわぶわとシーツを辺り構わずに動かすルフィの姿が目に入って。このままではせっかく洗濯したシーツも台無しになってしまうと思い、シーツを上げようと下に手を入れると、何を勘違いしたのか、ルフィはあろうことにそんな俺の手をぐいっと力いっぱい掴んできた。
「わっ、」
「うおっ! あれ??、助けてくれるんじゃなかったのか?」
急なそれに、もちろん対処出来るはずもなく。引っ張られるままに飛び込んでいけば、倒れ込んだ先はどうやら自分を起こしてくれるのだと思っていたルフィの胸元だったようで。盛大にぶつかった俺は鼻の頭を抑えながら、「 ルフィ、」と彼の名前を呼びながら視線を合わせれば「なっはっは!わりィ!!」 なんて謝っているんだかいないんだか分からないような楽しそうな声でそう言葉を返してきた。
「まあ、怪我がないならそれで良いが。」
「っ、怪我したのかっ!?」
「いや、俺はしていないよ。君の事を言ったんだ。」
さすがにこのままの格好では重いだろうと思って彼から離れようとするのだけれど、「なんだ、良かった!怪我してねェんだな!!」 なんて嬉しそうな笑みを浮かべたルフィは離れようとする俺とは逆に、離さないようにと俺の背中へと手を回してきて。
「ルフィ、洗濯物が片付かないだろう?」
「えー!このまま昼寝しねェのか?」
「・・・いつそんな話になった?それに今かぶっているのは布団じゃなくてシーツだ。」
まるで俺が間違っているかのような言葉を紡ぎ出してくるルフィに身体は身動きとれないものの、何とか言葉だけは反論をする。けれど「たたむ」という作業にとっくのとうに飽きを感じてしまっていたルフィはどうやら洗濯物を取り込むという作業をやっていた俺までも巻き込んで自分にとって楽しい事をしたいと思っているようで。
「ルフィ、もう少し待ってくれたら一緒に昼寝ができるよ。」
「やだ!俺は今昼寝がしたいんだ!!」
「まったく、君はそうやって(いつも俺を、)」
自分のその押しにどれだけ俺が弱いのか知っているのか、知っていないのか、いつの間にか反転して見上げれば彼とシーツが見えるような状況になっている今、「なァ、。昼寝しようぜー、な?」 なんて甘えたようなその声を出してきて、俺の身体へと擦り寄ってくるルフィ。なけなしの理性を必死に離れないようにと掴みながら彼の頭を撫でる。
「ほらルフィ、頼むから。」
「ー、」
「 ああもう、分かっ、」
「“た”なんて言わせるかオラァ!!!」
「へぶっ!!」
シーツの中でルフィのおねだりと必死に格闘して、結局いつものように負けてしまい降参の合図を送ろうとした、そんな瞬間、器用にシーツとルフィの身体だけを蹴飛ばしてその場に立っているのは我が船のコックさんで。大きな音のした方を見れば、シーツを頭からかぶったルフィが再度ぶわぶわと必死にそこから出ようとする姿が見られて。
「おら、。さっさと取り込むぞ。」
「あ、ああ。ありがとうサンジ、だが、 ルフィが何だか苦しそうだぞ?」
「自業自得だっつの。良いからさっさと・・・って、おい!!」
いくら自業自得だと言っても、やはり何だか放っておけなかったものだから、彼へと歩を進めて今度は気をつけてそのシーツをルフィからとってやる。そうすれば、シーツの先からひょこっと顔を出したルフィは何とも分かり易く拗ねた顔をしていて。(ああもう、またそんな顔を、)
「せっかくと昼寝ができると思ったのに・・・」
「洗濯物を取り込んだらいくらでも一緒に寝るから、な?」
「 ほんとか?」
「ああ、もちろん。」
お安い御用だ、なんて彼に笑みを向けながらそう言えば、彼の顔は徐々にきらきらと輝き始めて、笑みを浮かべ始めて。そんな彼に可愛らしいな、なんて思いながら見ていれば、再度またもや一瞬のうちにして引っ張られて抱き込まれてしまって。だから、終わるまで待てと・・・なんて彼の方を見上げてそんな事を言いかけたそんな矢先、
「にししっ!俺、のこと大好きだぞ!!」
眩しい笑みで、その愛しい声で、そんな愛らしい言葉を紡ぎ出してくれるものだから、俺は言いかけていた言葉の代わりに、「俺も、ルフィの事が大好きだよ。」 なんてまた彼を甘やかすような事を言ってしまうのである。(結局、何をしたって彼には敵わない。)
その前提を踏まえた上で
おいっ、ルフィにっ!!!お前らいい加減手伝え!! ふふ、ほらルフィ。ゾロもああ言っているからさっさと終わらせてしまおう、な? んー、もうちょっとこのまま!!な? ・・・仕方がない子だな。(もう、) ししっ、っ! ・・・(((もう勝手にやってろ)))
title by 赤小灰蝶 / その前提を踏まえた上で