おやつの時間、という事でルフィに連れられてダイニングへとやってきてサンジの作ってくれたそのデザートを食べる事になったのだけれど、俺の隣に腰掛けている船長は、デザートを味わって食べるという習慣がどうやらないようで。


「食った食った!ごちそうさまでしたっ!」
「・・・ルフィ、」
「ん?何だ、?」
「もう少し味わうという事をだな・・・」


一口入れて、その甘さを堪能しながら味わっている隣で既に空になった皿を前に出してそう言葉を紡ぎ出すルフィ。そんな彼に俺がそう説明しようとすれば、「言ったって意味がねェと思うぞ、俺は。」 なんて前のイスに座っているウソップに言われてしまう。けれどウソップの言葉はごもっともなそれであったから、俺はルフィに言いかけたその言葉をデザートと一緒に飲み込む事にした。


、何か言いたかったんじゃねェのか?」


けれどルフィは俺のその言葉の続きが気になったらしく、ひょこっと顔を俺の前へと現せて続きを促そうと声を掛けてくる。口の端にクリームを付けてそんな事を訊ねてくる彼にある種の可愛らしさを感じながら先程飲み込んでしまった言葉を再度口へと出した。


「もう少し、味わうことをしたらどうだろうと思っただけだ。」
「味わう??」
「うーん、そうだな。ゆっくり何度も噛み締めて食べるというか、」


その言葉に疑問を抱いているようだったから、分かり易く説明しようと言葉を紡ぎ出すのだけれど、その説明もなかなか上手く伝わらない。どうしたものか、そのデザートを再度口に入れて咀嚼しながら考えていれば、どうやら先程の言葉で彼に伝わっていたらしく、ぽんと閃いたように手を叩いた彼は嬉しそうに言葉を放った。


「分かった!あれだな、俺がの唇を食う時みたいなやつだな!!」
(ぶっ)な、何言ってんだこのクソゴムっ!!」
「・・・まあ、そんな感じだと思うが、」
も何普通に応答してんだよっ!!」


ルフィから出て来たその言葉にサンジは飲んでいた飲み物を吹き出し、ウソップは俺の返答に凄い勢いで突っ込んできた。そんな2人の様子をルフィと2人で不思議そうに視線を向ければ2人からは深いため息が返ってくる。「失敬だな、お前ら!」 なんて自分の顔を見てため息をつかれた事が不満だったようでルフィは唇を尖らせた。そんな彼らの様子を見ながらもデザートを口の中へと放り込む事を止めないでいれば、ルフィの視線がこちらへと向いてくる。視線がかち合いそのままそれを外すことなく彼を見ていると、彼の顔には急に笑みが浮かべられて、


「俺、味わうんだったらの唇が良いぞ!!」


「食っても良いか?」 なんて笑みを浮かべたまま至極楽しそうにそんな事を言ってくる。しかしながら一応疑問の形で訊ねているものの、当然の如く俺に拒否権を行使するほどの力はなくて。もしそれがあったとしても彼を目の前にしたら拒否なんて言葉がまず浮かんでくるわけがないのだけれど。


「   なァ、!!」


そんな事を思っていれば、目の前では待ちきれないと言わんばかりに俺の名前を呼ぶ彼の姿があって。俺の了承よりも前に食べてしまいそうな距離まで近づいてくる我らが船長に俺は視線を合わせて笑みを浮かべながら、一応首を縦に振るのだった。

細めた瞳と、開いた唇

ああもう、お前ら辺り構わず好き勝手やりやがって。ほら見ろ、サンジがもう固まったじゃねェか。  ??何でサンジが固まるんだ、?   ・・・いや、俺も分からない。   ・・・幸せな頭してるよな、お前ら。(悪い事じゃねェけど・・・)



title by farfalla / 細めた瞳と、開いた唇