タコのハチ君とやらをどうやら助ける方向に決まったらしく、我らが船長であるルフィのかけ声と共に戦闘が始まったのだけれど、その声を響かせた本人はどうやらトビウオに乗る事の方に意識が傾いているらしかった。


「乗りてー!!!」


一度目に海へと真っ逆さまに落ちたはずの彼はまだ懲りていないらしく、サニー号の上を飛び回っているトビウオを至極悔しそうに見ていた。「さっきので俺が諦めたと思うなよ!」 服に染み込んだ水を絞り上げていれば、隣から聞こえてきたそんな声。また海に落ちるなんて事にならなければ良いのだが、絞り上げたシャツの皺を伸ばそうと服を広げてそんな事を考えていると「もう助けないからね!?」 なんてナミの止める声が聞こえてきた。(まあ、止めるに超した事はないのは確かだな。)


「お役に立たねば男の名折れ!!!」


そんなナミの制止を聞くはずもなく今にもトビウオへと手を伸ばそうとするルフィ、けれどそれはブルックの言葉でどうやらトビウオから気を逸らす事ができたらしい。不思議そうに見ながら彼に声をかけるルフィに対して、ブルックはそのままトビウオライダーズのいる空中へと高く跳んで、そこからバイオリンを出してくると、心地よい音楽を奏でてくれた。


「ブルックは、相変わらず素敵な音を奏でるね。」
「やるなブルックの奴っ!!  よーし、っ!」
「うん?どうした、ル・・・ん?」


ブルックの奏でる音に思わず服を広げていた手を止めて聞き入っていれば、ルフィが楽しそうに俺の名前を呼ぶ声も耳へと入ってきたから顔の向きをルフィの方へと変えてその声に反応を返す。けれどその反応を返すと同時に、俺の腰へと彼が腕を回してきた感覚。ルフィの意図を理解した時にはすでに遅く、気が付いた時には彼と一緒にトビウオへと跨っていた。しかし先程のブルックが奏でたのは眠り歌で、つまりこのトビウオにも操縦者にもその効果が現れているはずなわけで(・・・言わんこっちゃない)


「よし、乗れたぞ!!もいるし、これで・・・」
「   ルフィ、」
「ん?なんだ、?」
「・・・トビウオとその操縦者を見ろ。」
「何でだ?ちゃんと捕まえて今度は海に落ちねェように・・・って、寝てるー!!!」


ようやくルフィは彼らが寝てしまっていては海に落ちないようにも何もないことに気付いてくれたのだが、しかしながらそれは遅すぎて、「起きろー!!!」なんて言ってルフィが何とかしようと奮起している間に、このトビウオはある家の中へと屋根から突撃してしまった。


「いてて、」
「、 大丈夫か、ルフィ?」
「っ、!ケガはっ!?」
「ああ、俺は大丈夫だよ。」
「そうか、良かった良かった!」


そのまま突っ込んでしまったからルフィを下敷きにしないようにする事だけで精一杯だったけれど、何とか自分の身体を滑り込ませる事が出来た。そんな格好のままで、(つまり俺の身体に彼が跨っている格好なのだけれど) ルフィに無事かどうかを聞かれ頷いてみせれば、安堵したかのようにそのまま俺の方へと倒れ込んできた。「大げさだな、全く。」なんて言いながら上半身を起こしてそのまま立とうとするのだけれど、俺の上に乗っかっている船長はどうやら離れる気がないらしい。


「    ルフィ?」
、何かいつもよりあったけェぞ?」
「海に入ったからね、身体を温めようとしているんじゃないか?」
「ヘェ、そうなのか!それにしも気持ちいいなァ、の体!」


ぐりぐりとその顔を俺の胸へと押しつけてきては至極嬉しそうにそんな事を言ってくれるものだから、無下に離す事もできないわけで。「っ、」なんてこちらへと視線を向けて返事を求めてくるように楽しそうな笑みを浮かべながら俺の名前を呼んでくれる我らが船長に、俺は立ち上がる事を一時取りやめる事にして、彼の背中へとゆっくりと腕を回したのだ。

大それたことをしたものだ

・・・とルフィ、あの部屋から出てこないぞ?あそこに落ちたよな?    どうせまたルフィが抱きついてがそれに折れてそこでいちゃこらしてんでしょ。   ナミ、そんなことまで分かるのか!?   ・・・あいつらいつもそんなんでしょうが。   ((た、確かに))     うわあっ!!    あ、ルフィとが出て来た!!って、何でルフィはに抱えられてるんだっ!?   ・・・馬鹿ね。    ・・・ああ、阿呆だ(何でこんな時まで、)



title by 赤小灰蝶 / 大それたことをしたものだ