「ルフィ、暑いのだが・・・」
「おォ!俺も暑ィぞ!!」
俺の眠りを妨げるが如く、俺の腹部に背中を押しつけて言葉と行動が矛盾していることに気付いているのか気付いていないのか、こちらに顔を向けて笑みを浮かべている我が船長。昼寝をし過ぎていたのだろうか、空を見上げればもう既に太陽も沈んでいた。
「夕食ができたのか?」
「おお!それで呼びに来たんだった!!」
「今日もウマそうな肉があったぞ!」 なんて嬉しそうにそう返事をするルフィの言葉を聞きながら上半身を起こして、とりあえず体勢を直す。その間も彼は俺にくっついたままで、暑さを気にしていないかのように俺の肩に頭を置いてきた。
「それならダイニングに行った方が良いんじゃないのか?みんなも待っているだろう?」
「んー、もうちょっと!」
そう言って目の前に広がる海へと視線を移すルフィ。彼のその言葉を承諾しないなんてこと、もちろん俺にはできなくて。触れているその部分からじわりと出てくるその熱気と汗に一種の心地よさを感じているのも確かだったから、俺は彼の腹部へと腕を回してずれ落ちる彼を再度持ち上げて身体を起こした。
「 !」
「うん、どうした?」
「俺な、にくっついてんのは暑ィけど、でも暑くねェんだ!!」
「でも、暑ィんだぞ! あれ??」 自分の言った事に矛盾(彼的に言えば、不思議な事だが)が生じた事になんとなく気付いたのだろう、そう言って自分の言った事をまた否定したりして整理をつけようとするけれど、どうやら上手くいかないようで。自分の言いたい事の意を俺に伝えようと懸命に考えている姿に、思わず声を上げて笑ってしまったのはそんな最中のことで。(まさか、彼も俺と、)
「? 何笑ってんだ?」
「ふふ、いや、何でもないんだ。」
笑ってそんな返事をする俺に「何でもねェのに笑うのか?」 なんて不思議そうに後ろに仰け反るようにして俺を見上げてくるルフィ。まさか彼が俺と同じ事を考えているとは思っていなかったのと、そんな同じ事を考えていたというその事実が何だか可笑しくて、なんて言っても彼はきっとさらに疑問符を頭の上に浮かべて不思議そうな顔をするだけだと思ったから、俺の方を見ている彼の瞳を見ながら腹部に回している腕を少し強めた。
「俺もルフィとこうしていると、暑い。 だが、暑くないんだ。」
彼と同じようにそう言葉を紡ぎ出せば、彼の顔は嬉しそうに笑みを浮かべ始めてくれて。「そっかァ!も俺と同じだなっ!!」 にししっ、と笑い声を上げてそんなことを言ってくるルフィは俺から見れば何とも眩しくて、心地よくて。
「ルフィ、!!夕食だって言ってるでしょう!!」
「そんな場でくっついてないでさっさと来なさい!」 ダイニングへと続くドアが開いたと思えば、そこに姿を見せたのはナミであった。大きな声で俺達にそんな事を言い放ったナミは言い終えると、ドアを開いたままでダイニングの方へと消えてしまう。そんな彼女の姿を二人して呆けながら見ていれば「早くしなさいっ!」なんて言葉が奥の方からまた聞こえてきて。そんな声に俺達は目を見合わせて、再び笑いあって。
「さ、そろそろ行くか。ナミが怒っている。」
「にししっ、そうだな!!」
彼の額に光るそれをもう乾いてしまったタオルで拭き取りながらそう言うえば、彼はひょいっと立ち上がりながら俺に返事をする。彼が起きあがったのに継いで俺が立ち上がると彼はその瞬間に俺の腕を掴んできたルフィは「よし、飯だ!!」なんて言いながら皆の待っているダイニングへと俺を引っ張るようにして向かったのだ。(ふふ、全く彼には敵わないな。)
熱帯夜の熱視線
その熱は夜に感じるそれよりも、心地よくて離せなくて
title by 赤小灰蝶 / 熱帯夜の熱視線