「ルフィ?どうしたっ!?」
当分雨の降る心配はないとナミからのお墨付きをもらった天候の下でブランコに乗って風に揺られながら読書をしていると、大きな声で俺の名前を呼んで笑みを浮かべながらやってきたルフィの姿を捉える。けれど少しばかりそれは遅かったらしく、彼の姿を確認したと同時に腰には衝撃が来ていて。ルフィがブランコに乗っていた俺にタックルをかますが如く抱きついてきたということを理解したのはそれから数秒経ってルフィの後ろに澄み切った空が見えた時だった。
「・・・ルフィ、」
「なっはっは!いやァ勢いが良すぎたな!!」
芝生に押し倒された格好のまま見上げると、ルフィは声を上げて笑うだけで。芝生の甲板だったから衝撃こそ半減したものの、痛いものは痛いので腰をさすりながら、ルフィに用件を訊ねた。
「それで、タックルをかましてまで俺の所に来た理由は何だ?」
「おおっ!そうだ、俺に用があったんだ!」
掌に拳を置いて今思い出したかのような仕草をしてそう言葉を紡ぎ出したルフィに苦笑をしながら、とりあえず体勢だけでも立て直そうと上半身を起こす。するとあろう事に、ルフィはそれを阻止するように俺の両肩を押さえて再び体を芝生へと戻させてしまった。訳も分からず、されるがままになりながら視線を戻すと、そこには「にししっ!」 なんて言って楽しそうな笑みを浮かべているルフィの姿があった。
「ルフィ、一体君は何を・・・」
「じゃ、いっただきまーす!!」
「?? いただくってな、!!」
彼の言葉の意味を把握できず、疑問符を浮かべて彼にことばを返そうとすれば、彼の顔がえらく近くにあって。声が出せないと思えば、自分の口がルフィのそれで思いきり塞がれているのだと漸く気付いて。
「おォ!!ナミの言ったとおりだっ!」
「・・・何を言ったんだ?(・・・あの子はまたルフィに何の入れ知恵を)」
漸く顔を上げたかと思えば、嬉しそうにそんな言葉を放ったルフィ。彼の口から出て来たその言葉に、ルフィの突拍子もない行動に妙な納得感と同時に脱力感を覚えてしまう。(・・・面白そうにそれを言う彼女の姿が想像できるのが何とも複雑な気分だ)
「俺が腹減ったって言ったら、ナミがの唇は甘いから試してこいって言ったんだ!!」
「そしたら本当に甘ェんだもんな!!」 きらきらと太陽のように目を輝かせてそう言うルフィは、言葉にはしないものの、もう一度食いたいとい文字を顔にありありと浮かばせていた。そんな彼の体を押さえながらため息を吐く。読書をする時は大抵ココアか何か甘い飲み物をサンジに作ってもらってそれを飲みながらしているからそれの所為で甘いのだろう。彼女はこの事を知っていて彼に言ったのか、それとも知らずして言ったのかは解らないけれど、少なからず自分が楽しいからという理由でルフィのそれを言ったのは間違いないだろう。(・・・まったく、)
「、何で止めるんだよ!」
「ルフィ、ちょっとだけ待っていてくれるか?ナミに用事ができた。」
「ん?何だ、用事か?おお、なら良いぞ。」
「早く戻れよ!」 あっさりと解放してくれたルフィに手を振りながらダイニングへと向かって、3時のおやつを堪能しているであろう彼女のもとへと向かった。扉を開けて中へと入れば案の定何を気兼ねるでもなく、ロビンとチョッパーと一緒になってデザートを食べている彼女の姿が目に入る。
「あら、じゃない。ルフィはどうしたの?」
「・・・ナミ、ルフィに妙な入れ知恵をするなと何度も言っているだろう?」
「じゃあルフィは本当に試しちゃったの?!冗談半分で言ったつもりだったのに。」
「(・・・半分は本気なんじゃないか。)」
ナミの言葉に何度目か分からないため息をついていると、「ふふ、で、どうだった?」 なんて口の端を上げて至極楽しそうに笑みを浮かべて訊ねてくる。どうもこうもないだろう、そんな言葉を返そうと口を開こうとすると、背後の扉が大きな音と共に開いたことでそれを防がれてしまう。
「ッ!!もう俺待てねェぞ!!」
後ろから聞こえるその声に、「ルフィ、甘かったの?」なんて面白そうに聞くナミに「おお!すげェ甘かったぞ!ナミは何でも知ってんなァ!!」と陽気な声で嬉しそうに返事をするルフィ。事情をしているロビンも楽しそうに笑みを浮かべてこちらを見ているし、チョッパーも何のことだか分かっていないのか「えェ!?って甘いのか!?」なんてナミの言葉を鵜呑みにしようとしていた。
「ルフィもおやつを食べたんだろう?」
「ああ、食った!でもそれとこれは別だ。」
「にししっ!ちゃんと俺は待ったからな!」 先程のようにがっちりと両肩を掴み、笑みを浮かべながらこちらへと近づいてくるルフィ。こうなった彼を止めることなんてできないことぐらい、この船長の仲間である者なら周知の事実であって。もう逃れられないと本能で察知した俺にはこのまま流されるしか道は残っていなかった。(彼が喜んでくれるならそれはそれで構わないと思う辺り、俺も相当彼にやられているに違いないのかもしれない)
指摘するだけ馬鹿らしい
あら、お熱いこと。 ??何でルフィとはあんなことしてんだ? チョッパー、あれはね、とルフィだけができる特別なことなの。まあ本人達は気付いてないかも知れないけどね? トクベツな事なのか? (ガッシャーン!!) な、お、おおお前ら!!こんな所で何やってんだァ!!? ふふ、ここにもいたみたいね、ロビン。 ふふ、一体何人いるのかしら?
title by 赤小灰蝶 / 指摘するだけ馬鹿らしい