賞金もたかだか知れている(2000万とか何とか言っていた気がする)見知らぬ海賊が、俺たちの船長へと、ロー船長へとふざけた汚い言葉を吐いたのが、そもそもの始まりで。その言葉に、つい、俺の脳内にある理性とやらが思い切りぷっつんと音と立てて切れてしまい、気付いた時には、敵船に乗り移っていて、そのままその海賊達を続けざまに蹴倒していて、
「お前は、俺が関わると、本当に見境ねェなァ?」
「・・・多少の自覚は、」
「フフ、あるのか?」
「う、」
腕に包帯を巻かれながら、ロー船長直々に、そんな言葉を投げかけられる。何自分で言ってるんですか、なんて本当ははき出したい所だけれど、それが事実であるし、何よりその所為でこうして怪我をしてしまっているのだから、口からは言い訳のような言葉しか出てこない。
「まァ、久しぶりにの戦闘を見られたから、今回はそれで良しとしてやるよ。 ほら、終わったぞ。」
「ありがとうございます。・・・船長も散々暴れてたじゃないですか。」
巻かれ終わったその包帯を手で擦りつつ、お礼の言葉を紡ぎながらも、怪我を負ってしまったその次の瞬間、俺と対峙していた敵の腕が突然切り離された事を思い出して、言葉を続けて吐き出した。あの後の船長は、何だか、表面上は、ひどく楽しそうだった(・・・遠目で見ていたベポ達がため息をついていたのも、もちろん覚えている)
「フフ、ほどじゃねェがな?」
「・・・まだ言いますか。」
やり過ぎたという自覚はある、けれど、理性が切れたのは仕方のない事なのだ。普段がこんなでも、自分達の船長に、あんな汚い言葉を吐かれて、黙っていられる程、俺は冷静な人間でもない。あの時、船長に言われれば止めたかもしれないけれど・・・ああでも、あの時はやっぱり止められなかったかも知れない。
「・・・フフ、」
「? 何ですか、急に。」
そんな事を思い返していれば、ゆるりと俺の前から船長の笑い声が聞こえてきた。包帯に向けていた視線を船長へと移しながら、その理由を聞こうと言葉を紡ぐ俺に、船長は変わらず笑みを浮かべて、それどころか、楽しそうにそれを深めていって。
「いや、ただ、俺は愛されてるなと思っただけだ。」
何を言うかと思えば、響いてきたのは何とも自意識過剰ともとれそうなそんな言葉だった。けれど、そう船長へと返さないのは、返せないのは、船長のそれが、過剰なんかではなく、それが紛れもない事実であるからで。そんな彼に、俺は皮肉を込めて言葉を吐き出すのに、それが皮肉だと分かっているくせに、
「・・・普通、そういう事は自分で言わないですよ。」
「でも、事実だろう?」
足を組みながら、机へと頬杖をつきながら、それはもう何とも言えない笑みのまま、俺たちの、・・・愛する船長は、心底楽しそうに俺へと視線をくれるから(・・・くそう、)