「身体を洗うのもそうだけど、それだけじゃなくてちゃんと温まるんだよ!」 なんてベポの声を聞きつつ、まるでお母さんのようなクマだな、なんて苦笑しつつ、身体にぴったりと張り付いている服を脱ぎ捨てる。それから、ベポの忠告通り、しっかりと身体を洗った後、温まろうと湯が張ってあるその場所へとゆったりと浸かる・・・つもりだったのに、
「あー、えーと、 ロー、船長?」
「ほら、あんまり首動かすんじゃねェ、俺の顔に髪が当たる。」
「あ、すみません。(・・・え、今、俺が謝らないといけなかったの、か?)」
何がどうしてこうなったんだろうか、うんうんと無意味のような気がするそんな問いの答えを頭の中で模索しようとする。痛くなってきた頭のそれを和らげようと、こめかみをゆるゆると擦りながら、何故だか、後ろから俺を抱き竦めているロー船長へと言葉を投げかけた。けれどそんな俺の言葉でさえ楽しそうに受け流すだけで、ひっつけている身体も、首元に埋められている顔も、一向に離してくれる気配は全くなかった。
「びしょ濡れになって帰ってきた部下を船長直々に風邪をひかねェように身体を温めてやってるだけだが、」
「フフ、何か文句でもあるのか?」 普通なら、ここで俺は感謝されるべきだろ、 なんてもう自分の好きなように言葉を俺へと放ってくる船長、のその唇が、俺の頬へと寄せられて、触れてくる。
雨の匂いではなくて、シャンプーの香りが漂ってくるのは、俺の髪からなのか、船長からなのか、鼻を擽るその香りを感じながら、何をやってるんだろうなんてまた問題を脳内に提示しながらも、身体はすでに、ロー船長の方へと委ねて、背中をゆるりと預けてしまっているんだから、(・・・お風呂に長いこと入ってるから、思考回路がきっとおかしくなったんだな・・・うん、たぶん、)
「フフ、 、」
自分の行動を温かさの所為にしていれば、浴室にそんな船長の声が響き渡った。そんないつもよりも低く聞こえてくる気がするそんな声に、嫌な予感しかしないながらも、俺の腹部に回されていた腕の片方が俺の髪へと伸びてきてゆるゆると俺の髪へとその指を絡ませながら、再度、船長が俺の名前を、その声で紡ぐから、 「・・・何ですか、ロー船長、」
「身体の芯まで、奥底まで、この俺が温めてやる。」
その言葉を紡ぐために震えていた唇は、早急に俺の元へと寄せられる事はなく、ゆるりと、ゆっくりと、俺の唇へと到達したのを、俺は感じ取った。(・・・俺、浴室で何をやってるんだろう、本当に、)