「どうした、2億の首が怖がってんのか?え??」
「暴れればいいさ。」そう言ってこいつらを送り出すつもりだったって言うのに、目の前にいたその名のねェ海賊が俺に何ともひでェ暴言を吐いてきやがった。だが、そんな挑発に乗るほど俺の脳内は安くできちゃいねェんだが、俺ではなくて、俺の隣にいた奴の脳内に潜むとある線が思いっきり切れてしまったらしい。纏っているこいつの空気が一瞬にして変わってしまった事を感じ取ったのは当然俺だけではなく、周りにいた俺の船員達も瞬時に感じ取ったようで。俺は緩まる顔を抑えないままに奴等に最期の忠告をと喉を震わせた。
「お前も厄介な奴を敵に回したモンだな。」
「はっはっは!!!ルーキー如きが俺に何をほざいてやがる!!!俺にかかればお前らなんぞ赤子をひねるも同然のこと!」
「フフ、いい加減にその口を閉ざさねェと、」
「うわあ!!」
「な、何事だっ!!!?!?」
「あァ、遅かったみてェだな。」
さっさと逃げねェと、命がねェぞ。 親切にもこの俺がそう忠告しようとした矢先、相手の船から聞こえてきたのは悲鳴のそれだった。何が起きたのか分かっていないのは今目の前にいるアホな海賊だけであって、俺の周りで剣なり銃なりと構えていた奴は「またの独壇場かよ、まったく。」 なんて言って、既に状況を理解して構えていたそれらをしまいにかかっていた。そんな様子をイスにゆるりと腰を掛けて見ていた俺は隣から来る潮風を顔に受けながら、目の前の船に乗り移って幹部の1人を蹴飛ばした俺の部下へと視線を移した。
「俺の船長にそんな汚い言葉を吐いて、ただで済むと思わないでくださいよ。」
「貴方達は、祈る神なんてもの、いますか?」 そう言葉を放ったら最後、この名のねェ海賊達の命運はすでに尽きたという事を宣告されたも同じようなモンで。祈る神なんてものがもし奴等にいたとしても拝む時間なんてこいつが与えるはずもなく、間髪入れずに次々と海賊を沈めていくの姿に口の端を軽く上げながら観察していれば、「キャプテン、戦ってないのに楽しそうだね!」なんて前の方からベポの声も聞こえてきた。
好き勝手に暴れやがって、そんな事を思いながらも顔に浮かんでくるのはベポにも言われたその笑みで。あいつがああやって暴れる理由が理由だから、俺が声をかけたら止まるのかも知れねェが別に止める理由もないし、今のあいつは口で言ったって聞きやしねェだろう。
「フフ、どうしようもねェ部下だなまったく。」
「・・・船長、言葉と顔が一致してないんですけど、」
周りからそんな声が聞こえたが俺はそちらに視線を向けず、もう既に船長だけを残して誰1人として立っていないその場に、俺の可愛い部下はその船長の目の前へと立って奴へと目を向けていた。「って、キャプテンの事が絡むと容赦ないよね!」なんてベポがふと口にしたそれを聞きながら、こちらから見えるそのの背中へと言葉を投げかけた。
「さっさと始末しちまって、ソイツから俺にその目を向けろよ。」
「その瞳は俺だけを映してれば良いんだ、なァ?」 聞こえるように言ったつもりは無かったが、俺の愛しい部下は俺の声を聞き取ったのか、感じ取ったのか、こちらへと顔を振り向けてきた。先程まで奴等に見せていた冷淡なそれとは裏腹に、俺に見せるその顔は何ともまあ締まりのねェそれであって。俺のその言葉をどうやら感じ取ったらしい愛おしくて仕方がないその部下は、瞬時に再びその冷淡な色を見せ始めて最後の攻撃へと入っていった。(フフ、さっさと終わらせて戻ってこい。)