「(うん、温かいな。)」
毛布を追加したおかげで、何とか寒さにも耐えて眠ることができそうだ。そんな事を考えながら、瞼を閉じて夢の中へと落ちようとしたそんな最中。旅立つ途中でドアを開く音が、さらには冷えた空気が頬に触れたのを感じてしまった。ノックもしないでその上何の承諾も得る事なく俺のベッドの中へ入ってくる人なんて、俺の記憶する中ではもちろん1人しかいなくて。
「 船長、」
俺の真正面から潜り込んできた船長は何を言うわけでもなくそのまま俺を自分の中へと抱き込んでこれでもかと言わんばかりに密着してきた。そんな彼に不満丸出しな声で俺がそう呼べば、すばやく首元へと顔を埋めていた船長はゆるゆると顔を上げて、いつものようにふざけた事をぬかした。
「お前に、愛されにきた。」
「・・・いい加減にしないと問答無用に放り出しますよ。」
「フフ、その愛し方はもう飽きたぜ。」
「もっと、他の方法で俺を愛せ。」 俺の言った言葉の理解ができないのかする気がないのか、続けざまに出る船長の言葉は何ともまあ自分主義も良いところで。そんなこと今に始まったことではないのだけれど、そんな事を思って入れば結局それを許してしまっている自分に気付いてしまい、思わず深いため息をついてしまう。そんな俺の様子に船長は笑みを浮かべて再度口を開いた。
「フフ、まあ2割は冗談として置いておくが、」
「・・・(何で冗談の割合がそんなに少ないんですか。)」
色々と突っ込みたいのに、彼はそれを分かっているかのように俺の顔を自分の身体へと押しつけて俺の口を開かせようとしない。俺の手が自分の背中に回るのを待っているのか、船長は自分の指に俺の髪を絡ませながら俺にそれを促すような言葉をかけてきたのだ。
「気温が低くなったからな、」
「 (だから、何なんですか。)」
「こんな冷え込む温度の中、俺は1人で寝られねェことをは知っているだろ?」
「(今までそんな事、言われた記憶がありませんが)」
俺の言いたい事が分かっているのか、俺の言葉を聞かないままに話を進める船長は腕を回せとは直接口に出して言わないものの、早く腕を回せという意が言葉の端々から嫌と言うほど伝わってくる訳で。「 。」 未だに顔を押しつけられているから見えないが、そう耳元で囁いてくる彼が口の端を上げながらその行為をしている事だけは安易に想像できて。
「俺が大人しく待ってるうちに なァ?」
その声だけ聞けば優しいそれに聞こえるかもしないが、生憎言っている内容が内容なだけに優しいも何もない。むしろ脅しじゃないんですかそれ、と言えるようなその言葉に俺はこれ見よがしにため息を深く吐くのだけれど、そんな事をしてどうにかなる人では無いわけで。結局彼の背中へと腕を回して折れるのはいつだって部下である俺なのだと言う事は、彼にも、そして情けのない事に船員にまで周知の事実であったりするだが。
寝込みを襲われる
それを防いだ事なんて片手で数えられる程もないなんてこと、
title by 赤小灰蝶 / 寝込みを襲われる