「ん?どうした、?」
「いや、どうしたもこうしたも何で俺はこんな格好で、」
“聖地”マリージョアにある海軍本部の廊下のど真ん中をずかずかと遠慮なしに歩を進めるのは俺を樽のように抱えているその人、ドンキホーテ・ドフラミンゴさんであって。というか俺は確かふかふかベッドにドフラミンゴさんの大きな腕の中という何とも心地の良い場所で気持ち良く寝ていたはずであるというのに、どうしてそれが目を覚ましたらこんな場所になっているのだろうか。
「フフフ!何度呼んでも起きなかったからなァ!」
「・・・別にここに来るのに俺は必要ないでしょう。」
俺が降りたいと言ったところで素直に下ろしてくれる人では無い事を俺は重々承知であるし、むしろ降りたいと言えば言うほど彼は俺のその願いを聞き入れてくれないというまた何とも素晴らしい性格の持ち主である事を俺はずいぶんと前に思い知らされているから、ドフラミンゴさんの顔が見えるようなその格好で抱えられるのを甘んじて受けながら、彼のその声を聞く。
どうやら俺が起きなかったから、寝ている俺をそのまま抱え上げてこうして海軍本部へと来たらしいのだけれど、ドフラミンゴさんのそんな言葉に深く息を吐きながら言葉を返せば、
「フッフッフ!こんな所に1人で来ても楽しい訳がねェだろう?」
「退屈しのぎにも、それ相応の“退屈しのぎ”が必要だからなァ?」 そんな言葉を紡ぎ出しながら、落ちないようにと申し訳程度にドフラミンゴさんの服を掴んでいた俺を今度は親が子どもを抱えるような格好へと俺を抱え直して、自分の真正面へと移動させた俺の唇へと自分のそれを落としてくるドフラミンゴさん。
そんな彼に俺は「一応、人目のつく所ですよ?」 彼のそのもふもふとしたコートの奥に見え隠れしている首元に顔を埋めながら今更のようにそう吐き出せば、彼は特徴的なその笑い声を響かせながら懲りもせず再度俺の唇にそれを降らせてきて。
「フッフッフッ!!見せつけてやりゃ良いじゃねェか!!」
「それとも何だ、俺の愛を受け取ってくれねェのか?」 なんて俺の耳元で囁くようにそう言葉を放ったかと思えば、そのまま耳朶を甘噛みしてくるものだから、突然のそれに俺の身体は嫌でも反応してしまって。そんな俺の反応にドフラミンゴさんは至極楽しそうな笑い声を上げて、「フフ、なァ、?」 なんて一層低いその声で俺に返事を求めるように言葉を放ってくるドフラミンゴさん、に俺の返すべき言葉なんて決まっているようなものである訳で。
「・・・ドフラミンゴさん以外の愛なんて、受け取る訳がないでしょう。」
それでも何だか素直に言うのも悔しかったから間接的にそう言葉を放てば、ドフラミンゴさんから返ってきたのは、
寝過ごした朝に限って
おや、また連れてきたのかい? フフフ!!俺の可愛い可愛い恋人だからなァ!! すみません、おつるさん。また来てしまって。 その様子だと、また連れて来られたんだね。 ・・・おっしゃる通りで。
title by 赤小灰蝶 / 寝過ごした朝に限って