「 あ、 おふろ、入って、きました。」
「あ、ああ、それは、良いんだが、」
食堂で飯をかっ食らっていれば、隣で同じように飯を食べていたは何やらえらく眠たそうな顔をしていたから、「あー、とりあえず風呂にでも入って覚ましてこい。」 なんて言ったのは確かに俺だが・・・なんて思いながら、わざわざこうして伝えにきてくれたへと視線を移す。けれど、やはり風呂に入っただけではの眠気は覚めなかったようで。髪もロクに拭かねェまま出できたらしいの髪を見やりながら、言葉を詰まらせていれば、どこからか聞こえてきたのは、
「 っ! 、お前びしょびしょじゃねェかっ!!」
「 あ、 エース、隊長、 」
どこからともなくやってきて、この場でもう寝てしまいそうなを素早く見つけたのは、我らが2番隊隊長である、エース隊長であって。こんな人数がいる中で、しかも小さな声でしか話していなかったをよく見つけられるよな、なんて今更過ぎる事を思いながら、こちらへとやってくるエース隊長へとと同じように視線を移せば、エース隊長はそんなの声に答える間もなく、の首にひっかけてあっただけのタオルを掴みとると、わしゃわしゃとの髪を拭きだした。
「 わ、 」
「ったく、こんな濡れたままで・・・風邪でもひいたらどうすんだ。」
眉間に皺を寄せて不満そうな顔をしながらも、しっかりとの髪に含まれていた水分を拭き取っていくエース隊長と、それを大人しく受けているを見やる。あんたらはどこぞの親子かとつい突っ込みを入れたくなるが、これで彼らは恋人同士にあたる関係にあるんだから、本当に世界は広いもんだと変なところで実感する。(それに、親子なんていうと、エース隊長が怒るしな。)(・・・恋人って言っても、顔を赤くして怒るけど。)
「 よし、こんなもんだろ。いくら暑いからって、気をつけろよ?」
「 ふふ、 エース、たいちょ、」
「ん?? どうした、? そういえば、お前何か眠そ、うっ!?」
「(・・・あーあ、)」
エース隊長のそんな甲斐甲斐しい行動に、は嬉しくなったのか何なのか、ゆるりとその顔に笑みを浮かべたと思ったら、突然ゆるりとその体がエース隊長の方へと傾いていって。隊長がそんなの異変に気付いた時にはもう遅く、既にの身体は隊長へと完全に預け切っている状態になってしまっていた。
「なっ! ちょ、おいっ、っ?」
「(・・・いつになったら慣れるんですか。)」
そんなの突然の行動に、いつものようにあたふたと慌て始めたエース隊長は、それでもをしっかりと自分の手で支えながら、頬杖をついて呆れながらその光景を見ていた俺の方へとぐりんと勢いよく顔を向けてきた。
「 が、お、俺のっ、」
「・・・とりあえず、落ち着いてください。そんで、は寝かせてきたらどうですか?」
「風呂に入る前も、眠たそうにしてたんで。」 顔を赤らめながら助けを求めるような声色で俺へと言葉になっていないそれらを投げかけてきたもんだから、そう返事をすれば、けれど隊長は何故か、何気なく放った俺の言葉に、ひどく反応を示してきて、
「なっ、 お前っ、眠たそうにしてるを1人で風呂に行かせたのかっ!?」
「・・・(え、そこ? 反応するところはそこですか??)」
予想していなかったその反応に、思わずあんぐりと口を開いたままで隊長へとその間抜け面を晒してしまった。けれど、すぐにに対するこの人の過保護さを思い出して、盛大にため息をついてしまった。「な、何だよそのため息はっ!!」 を抱きかかえながら、の為にだろう、揺らさないように、それから静かに言葉を放ってくる隊長から、どうやって切り抜けるか、なんて暢気に考えていれば、
「 ん、 う、 たいちょ、」
「っ! ど、どうした、?」
「 ふふ、 だいすき、です、 えーす、 たい、 」
「っ!!!?」
眠る直前だったのか、寝言だったのか、の口から途切れ途切れに紡がれたその言葉は、エース隊長の意識を俺から離すにはとても威力のあるものであって。
そんなの言葉に慌てながらも、嬉しそうな顔を隠し切れていないエース隊長は、「 今度からは、眠たくなったら俺を呼ぶんだぞ?」 なんて、俺に言ったのか、もう寝てしまったそいつに言ったのか、そんな言葉を放ちながら、ゆるりとを抱え直して、食堂のドアを蹴りながら出て行くから、
「(・・・助かった、 のか??)」
そんな2人を見送った俺は、とりあえず、酒をカップに注いで飲み直そうと思うんですが・・・俺は間違ってない、よな?