何らかの拍子に、ふと目が覚めてしまった。気候の所為もあってか、一度、意識を浮上させてしまえば、自分の肌へと当たる冷気がどうにも気になって眠れなくなってしまって少しの間、それでも眠ろうと試みたのだけれど、そうすればするほど意識が覚醒していっている気がしたから、何か温かいものでも飲んで身体を温めることしようと、ベッドをそっと抜け出して、湯気の立っているマグカップを持って戻ってきて、


「 (・・・温かい、)」


冷えやすい手先をマグカップに当てて、その温度にほっとひと息吐く。ベッドで寝ているであろうエース隊長を起こさないように、そっとドアを閉めてゆっくりと歩を進めて、ベッドのサイドテーブルへとそのカップを置く。どの動作も極力音を立てないようにしたつもりだったのだけれど、どうやら俺は隊長を起こしてしまったらしい。


「   、」
「っ、  エース、隊長?」


呟くような、それでもはっきりと俺の脳内へと響いた隊長のその声。聞こえてくると思わなかった素の声に、ビクリと身体を反応させてしまいながら、隊長の方へと視線を移すと、ぼんやりとしながらも、俺の目をしっかりとらえて放さない隊長の瞳が映ってきて。


「  すみません、起こしてしまって。」


「起きるのは早い時間ですから、眠っても大丈夫ですよ。俺もまた寝ますから。」 隊長の意識が完全に覚醒してしまう前にと、そう声を掛ける。すると隊長は、こちらを見つめたかと思えば、ゆるゆるとサイドテーブルにあったマグカップへと視線を移した。エース隊長も、寒さが気になってしまったのだろうか、起こしてしまった事を申し訳なく思いながら、少しでも彼が温まってくれるのならと、マグカップを隊長に差し出そうと手を伸ばした、そんな時、


「 う、 わっ、」


唐突に腕を掴まれて、ベッドへと引きずり込まれるように身体を引っ張られて。何が起こったのかさっぱり理解できないまま、目まぐるしく動く視界だけが脳内へと処理されずに入ってくる。焦点が漸く落ち着いて、再び脳内が正常に動き出したのを感じると同時に、目の前に広がるその色を、背中、それから俺の指に感じる自分とは違う別の体温を俺の脳内は感じ取って、ようやくエース隊長に抱きしめられているのだという事を理解する。


「 隊長?」


「どう、したんですか?」 けれど、隊長が俺にこんな事をしてくる理由は分からないままだだったから、隊長の首元に顔を埋めたままそう言葉を発すれば、背中に回されていたその腕が、絡ませていたその指が、さらに強く、深く俺の体温へと溶けていって、


「  んなもんで暖めなくても、 俺がを暖めてやるから、」


先程まで神経を張りつめさせていた寒さがまるで麻痺したように感じなくなるのが分かった。囁かれたその言葉に、流れてくる隊長の体温に、俺の身体は、頬は、ゆるゆると温度を上昇させていって、(ああ、もう、)


「  だから、急に側からいなくなるな。」


紡がれた言葉に俺はゆるりと頷いて、彼の全てを肌で感じながら、絡めた指を自らも深くしてゆるゆると意識を落としていった(おやすみ、なさい、  俺の愛しい、)

指先を焦がした熱

吐き出す息さえも、融け合うように感じてしまって



title by 赤小灰蝶 / 指先を焦がした熱