「  、」


触れるような、けれど可愛らしいとはとても言えない重ね方で唇を奪われる。何してるんですか、なんて言ってみようとも思ったけれど、愛おしそうなその声で名前を呼ばれてしまえば、まあ理由なんて良いか、なんて思ってしまう訳で。


「  ん、」


思わず漏れる声に、けれどそれを抑える事すらしないままに、エース隊長から降ってくるそれを受け止めて、するりと入り込んでくるのを受け入れて、


「  エース、隊長、」


物理的に、という訳ではなく、何だか身体全身が溶かされてしまいそうな感覚に浸されながら、彼の名前を呼んで、背中へと伸ばしていた手をさらに強く回した。それをエース隊長は物足りなさを感じたと思ったのか、妙に艶めかしい笑みをその顔に浮かべたかと思えば、先程よりも深く唇を重ねられた。


「   、 」


その顔に浮かんでいる表情もさることながら、彼の口から発せられるその声も口から吐き出されるその息も、全てが俺の脳内を、身体を侵していって、溢れ出てくる愛おしさが止まらなくなってしまって。名前を呼ばれる事だって、日常にありふれている行為の1つだって言うのに、それすらも今は特別な行為のように俺には思えて、隊長に呼ばれる度に俺の中に何かが満たされていくような気分になって。隊長もそうなってくれていたら良いな、なんて思いながら、俺も隊長の名前を何度も呼んで、


「 ふふ、 エース、た、」


離れたと思ったら、隊長と唇を震わせる前に、また塞がれて。けれど先程までのそれとはまたさらに違った口付けをされて。先程まではあれやこれやと意識内で考える事ができていたのに、今のエース隊長のそれは、


「  ふ、  ん、(   何か、もう、)」


考えていた色々な事を全て忘れてしまうような、重ねられているそこにしか集中できないように、隊長の唇は咥内へと入り込んできて、絡まって。


「   考え事なんて、するなよ。」


「目の前にいる俺の事だけ、思ってろよ。」 なんて、少し拗ねたように、自分の言いたい事だけ言ったかと思えば、俺の肩へとその顔を埋めたエース隊長。俺の後頭部へと回っていた腕はいつのまにか背中、腰へと回されていた。自分の乱れた呼吸音で邪魔されながらも、聞き取れたその声に、俺はまた、(・・・たまに、隊長は分かってやっているのではないかと思う時がある)(・・・それを自然にやってしまう隊長だから、俺はまた隊長に、)


「   隊長の事、  考えていたんですよ。」


俺の言葉に、がばっと上げた隊長のその顔と言ったら。浮かんでいる、その愛しい笑みを見た俺は、緩みきった顔をそのままに、今度は自ら、隊長の唇へと自分のそれで触れにいってしまうのだ。

優しく甘いくちづけ

そして、そのくちづけに、再度酔ってしまう訳であって。



title by Seventh Heaven / 優しく甘いくちづけ