「っ!!」
「 エース隊長、 う、わっ、」
聞こえてくるその声に返事をした途端、隊長は扉を開けた時の勢いそのままに俺へと思いきり身体をタックルするように抱きついてきた。ふぬけた顔に、さらに何ともふぬけた声を出しながら隊長のそれを強制的に受けさせられた俺は、もちろん浮かんでいるその表情と同じく、隊長の行動に理解が至っていない。「 隊長?」行動の意図を訊ねるように彼の名前を呼べば、隊長は顔を上げてくれたのだけれど、
「 な、何て顔をしているんですか。」
俺を見る隊長のその顔には今にも泣いてしまいそうな表情が浮かんでいたから、俺は目を見開く程驚いてしまって。隊長がここへとやってきてからあまりにも急に事が進みすぎていて、脳内に浮かんできた言葉をただ喉を震わせて声に出すという作業しかできていない俺に、構わず隊長はたて続けに言葉を紡ぎ出していた。
「何て場所に彫ってんだお前ェはっ!!」
「え? あの、えーと、」
「首元なんてまた危ねェとこにっ。」 そっと、まるでひどく割れやすいものを扱うようなそんな手つきで、俺の先程彫ってもらったその刺青へと触れてきた隊長、に俺は徐々に理解が追いついて来て。まだ彫ったばかりだからか、チリッと走ったその痛みに俺が少しだけ顔をしかめると、エース隊長はそんな少しの変化を見逃してくれなかった。
「っ、まだ痛ェのかっ!?」
俺が怪我をした時のように、エース隊長はあたふたと「な、ナースの奴呼ぶかっ?」 なんて言いながら今にも駆け出しそうな勢いで立ち上がったものだから、「 大丈夫、ですからっ。」 何とかそう言葉を出して、俺よりも力のある隊長を慌てて腕を引っ張って止める。「 本当に大丈夫かっ!!お前はいつも大丈夫じゃねェ時でもそう言うから・・・」 俺が彫っていて痛みを感じている時よりも、苦しそうにその顔をしかめて俺を見るエース隊長。心配してくれているような、その隊長の顔を俺も視線を反らすことなく見ていれば、不謹慎だと思いながらも、何故だか彼に、ひどく愛おしさが溢れ出てきてしまって。
「大丈夫です、痛くないですから。」
「・・・本当か?」
ゆっくりと隊長の手をとって、先程触れてくれていたその偉大な刻印の入った俺の首元へと運びながら、笑みを浮かべて隊長にそう言葉を放つ。先程の俺の顔を覚えているのだろう、俺の首元へと触れた時、ビクッと手が一瞬震えていたようだった。そんな隊長の反応に、俺は、
「 似合って、ませんか?」
ずいぶんとずるい訊き方をしてしまったな、なんて自分でもそう思った。けれどやっぱり愛しい隊長から、隊長のその声で、その言葉が聞きたくて。俺のそんな言葉に、一瞬きょとんと、少し驚いたような表情を顔に浮かばせた隊長だったけれど、その顔は次第に、俺の大好きなその愛しい笑顔に変わっていって。
「そんな訳ねェよ。 すげェ似合ってる。」
返ってきた言葉は、ぼんやりと予想していた答えと同じだったけれど、それでもやっぱり、エース隊長の口から、直接言葉をもらうのとは、比較にならないくらいに嬉しさの度合いが違う訳で。俺の耳へとその愛おしい声が響いてきた瞬間、俺は隊長の、先程彫ったばかりの俺の刻印と同じそれが彫られてあるその背中へと、ゆるりと腕を伸ばしていたのだ。