今日も今日とて、騒がしく宴をしている俺達の船、モビー・ディック号。人数が人数なだけにドンチャン騒ぎも良いところで、まあオヤジの船にいる人らにとったら、こんな騒ぎは日常茶飯事な訳だが。そんなみんなが楽しく酒を酌み交わして会話をしている中、俺はカウンターでとちびちびと、それでも決して弱くはない酒を飲んでいた。


「それにしても、相変わらず強い酒飲むよな、お前。」
「・・・そうですか?」


叫び声が食堂に木霊している中、俺はにのんびりとそんな事を口にする。見た目に反して、なんて言ったらこいつは不機嫌な顔をするかもしれないが、本当にひょろい容姿から酒もべらぼうに弱ェのかと思ったら、今飲んでいる酒の度数からも見て取れるように、見た目に反してこいつは酒豪だった。それもかなりの、だ。まあ、それだけ酔った時の反動はそれはもう凄いもんなんだが。


「そんな強ェ酒を水みたいに飲んじまうしなあ、この酒豪め。」
「・・・水みたいって、そんな大量に飲んでいませんし。」


けらけらと笑いながらに言葉を返せば、不満そうにそう言葉を吐かれた。けれどやはり多少は自覚があるのか、「・・・この酒を勧めても飲んでくれる人は少ないですけれど。」なんてぼそっと呟くもんだから、俺はさらに笑い声を続けてしまった。


「そんな笑わなくても、良いじゃ、わっ。」
「ん?」


出てしまう声をそのままに、の声を聞いていれば、こいつの後ろからにょきっと腕を伸ばしてがっしりとへと抱きついている、エース隊長の姿が目に入ってきた。普段、に抱きつかれただけでもあたふたと動揺しまくる隊長が、あのエース隊長が、そのに抱きついて離さないもんだから、俺は驚くとともに、エース隊長が通常の状態ではないのだと即座に理解した。


ー、」
「?? どうしたんですか、隊長?」
「(あー、これは・・・)」


間延びした声に、妙に顔が赤く火照っている隊長に、俺は彼が酔っている事にすぐに気が付いた。けれどは自分の肩に顔を埋めている隊長の顔が窺う事ができないからか、頭に疑問符を飛ばしながら隊長の為すがままになっていた。


「あの、隊長?」
「あー、、そのままエース隊長引き摺って部屋に戻って寝ちまえ。」
「え?あ、あの、エース隊長は一体、」
「酔ってるんだろ。それもかなりべっろべろ。」
「酔ってる、んですか?」


のオウム返しのような言葉に、ため息と一緒にゆっくりと頷く俺。飲み比べしたのか、マルコ隊長とかジョズ隊長にの相談をしていてつい飲み過ぎてしまったのかは知らないが、なんて事を思ったりしたが口にしない。「 、」 なんて間の抜けたそれでありながらも、愛おしそうにこいつの名前を呼ぶエース隊長のその声に、俺はまた、独りでに深く息を吐いてしまった。


「  、俺にもその酒、くれ。」
「なっ、駄目ですよ、隊長。この酒飲んだら、」


普段、自分の酒を飲んだりしないこの人がそれを飲もうとしたからか、漸くにもエース隊長が酔っちまっている事に気付いたらしい。のコップに手を伸ばそうとするエース隊長にはそう慌てて言葉をかけながら、俺の方へとコップとその強ェ酒の入った瓶を避けて取れないようにする。酔っている人間なら、大抵そこで不機嫌そうにさらに酒を求めるもんだが、目の前にいるこの隊長は、避けられた酒に手を伸ばす事はなく、酒を追いやったのその手へと腕を伸ばして、


「   あったけェな、」
「隊長の方が、温かいですよ。ほら、もう部屋に行って寝ましょう、飲み過ぎですよ?」
「ん、そう、か?」
「はい、そうです。」


「  よっと、」 背中にもたれかかっているエース隊長をそのままに、腕をしっかりと掴んでゆっくりと立ち上がった。何だかんだ言いながらも、この2人はなあ、 なんて声にならない言葉を脳内に浮かべていた俺に、「じゃあ、俺、エース隊長と戻ります。」 と声をかけてきたにひらひらと片手を上げて振った。


「ああ、分かった。お前も大変だなー。」
「  ふふ、そうですね。」


言葉では、そう俺に返しているものの、ひどく嬉しそうに笑うの顔を見て、俺はまたけらけらと声を上げて笑っちまった。そんな俺の笑い声に、不思議そうな顔を浮かべただったが、「ん、、  俺の、側、に」 なんてすぐ後ろから聞こえてきたエース隊長の、その嬉しそうな声に、こいつはひどく愛おしい人を見るような、緩みきったその表情を浮かべやがって、


「 ほら、さっさといっちまえ。(この、自覚なしのいちゃこら野郎め、)」


見せつけられた(いや、本人達はそんなつもりは全く無いのだが、)俺は、そうに言葉を放って、奴の飲んでいたひときわ強い酒をくいっと呷ったのだった。(ったく、)

心を撫でる

・・・やっと行きやがったかい?   あ、マルコ隊長にジョズ隊長・・・っていうか、「やっと」って。やっぱ隊長達の所で飲んでたんっすか、エース隊長は。   ああ、すごい勢いでな。   ・・・俺に押しつけましたね?    と飲んでたお前ェが悪ィよい。    ・・・(の隣のこいつの顔を見てエースを行かせたのはマルコだったはずだが・・・言う必要はないか。)



title by 1204 / 心を撫でる