「あー、えっと、 エース、隊長?」
頭が起きてないままに1人で出るなと散々言われているのに、それを忘れて出てしまってああやって巻き込まれてしまった事に、もちろん隊長が怒らないわけがない訳で。鎖を取り外してもらった後、赤くなってしまった手首に治療を施されてそのまま隊長に引っ張られるままに彼の目の前の椅子へと座らされたのだけれど、彼の沈黙が妙に俺の精神へと音を立てるように突き刺さってきた。
「・・・俺は一人で行くなと言ったはずだぞ。」
「う、その、ですね ・・・すみません」
隊長の名前をおそるおそる口にして、様子を窺うように隊長の方へと視線を上げればようやく返ってきた言葉は言い返す事のできないそれであって。忠告をしてくれていたにもかかわらず、それを忘れてしまった俺に完全に非があるわけで、しかもその所為で隊長にまで迷惑をかけてしまった事を思うと申し訳ない思いしか、謝罪の言葉しか出てこなかったから、そのままその言葉を口にすれば、隊長は包帯の巻かれた俺の腕へと自分の手を添えてきた。
「 隊長?」
「あんまり、心配をかけるな。」
「お前の姿を見た時、どれだけ安心したか。」 添えていた手を今度は俺の背中へと伸ばして、優しく俺を包んでくれる隊長。普段、周りのみんなからもエース隊長は俺に過保護だ何だと言われているけれど、そういえば俺は一度もエース隊長のそれを煩わしいなんて事を思わなかったし、むしろそれは俺にとって心地の良いものであったな、なんて今更ながらに改めて感じて。(それがもう、当たり前の日常となっていたから、)
「ふふ、 すみません、エース隊長。」
「・・・本気でそう思ってんのか?」
今も感じる事の出来るその心地よさに思わず緩まる顔を抑えきれずに、再度隊長へと謝罪の言葉を述べれば、隊長も俺のそれに感付いたのだろう、俺の肩に埋めていた顔をゆっくりと上げてきて眉間に皺を寄せたそれで俺の瞳を捉えてきて。申し訳ないと思っているのは本当の事だったからその言葉に頷けば、隊長はどうも腑に落ちないというような顔をしながらも「反省してるなら、良いけどよ・・・」 なんて言って俺の背中から腕をゆっくりと離そうとするから、それが何だか名残惜しくて俺はすかさず自分の腕を彼の背中へと伸ばしていって。
「なっ、っ?」
「反省はしてます。隊長に迷惑をかけるなんて、あってはならない事だって言うのに、」
「すみません。」 エース隊長が何だかあたふたしているのが気になったけれど、構わず俺は言葉を続けて。そう、申し訳なくは思っているのだ。隊長に心配をかけてしまって、隊長自らの足で俺を捜させてしまって。できればエース隊長にばれないように人攫いから逃げられれば良いなんて事も思ったりもしたけれど、でもやっぱり隊長が俺を捜してくれたのだと、心配をしてくれたのだという事を考えれば考えるほど緩まる頬はもうどうしようもできないくらいに崩壊していって。「けれど、」
「けれど、隊長が俺を見つけてくれた時、とても嬉しかったです。」
「っ、 お前はまたそんな事を、」
「1人で歩かないようには善処します。」 困ったような、でも嬉しそうなそんな顔をした隊長へとその言葉を口にすれば、大好きで愛しい隊長は「・・・今度からは、俺に言うんだぞ?」 なんて怒るような強い言葉なんかではなくて、そうやって俺を甘やかすようなそれをその心地よい声で囁いてくれるのである。
最終的な結論は
「エース隊長もそうだけど、お前もエース隊長に十分甘いよな」 なんてマルコさんやジョズさんはもちろん、さらに仲間からさえもそんな言葉が返ってくるあたり、俺も隊長もそうに違いないのだろう
title by 赤小灰蝶 / 最終的な結論は