「(・・・眠い、)」
寝てしまえばそれで良いのだろうけれど、昼に寝てしまえばただでさえ夜に眠れないというのに、さらにそれを悪化させかねないと思ったから、その眠気をなんとか抑え込んで甲板をふらふらと歩き回っていた。動いていた方が眠気も抑えられるだろうと何か手伝う事はないかと聞いて回ったのだけれど「手伝うよりも、寝た方が良いんじゃねえか?」 なんて言われてしまう始末で。
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結局手持ちぶさたになってしまった俺は、甲板を歩き回る事でしか体を動かす方法がなかった。船縁から海を見ながらゆっくりと歩を進めていれば、後ろから聞こえてきたのは心地よいあの人の声であって。
「 っ!」
「 エース、隊長?」
後ろから聞こえてきたその声にゆるりと振り返ってみれば、何やら急いで俺の方へと駆け寄ってくる隊長の姿が目に入った。何か任務でも入ったのだろうかと思い、彼の方へと近づいて声をかけようとすれば、隊長はそんな俺の声を遮らんばかりの勢いで俺の両肩をがしっと掴んできた。
「??どうしたんですか、隊長?」
「どうしたもこうしたもねェ!!何でお前はそうっ!!」
「・・・はい?」
何を言われるかと思えば、隊長から放たれた言葉はそれだけでは俺には理解出来ないそれであって。何で、と言われても、何がどうなってその言葉が出てくるのかが分からなくて、疑問符を頭に浮かべて首を傾げることしかできない俺。そんな俺を見て、隊長は大きなため息と同時に脱力をしていって(・・・失礼な。)
「 、」
「はい、何ですか?」
「今すぐ寝ろ!」
「ええ?」
脱力しきった隊長が突然真剣な顔をして俺を見てくるから、今度こそ何か大変なことが起こったのかと思い、彼のその瞳を見ていれば、彼の口から飛び出した言葉は全く予想もしなかったそれであって。そんな隊長の言葉に思わずふぬけた返事をしてしまえば、「ええじゃねェだろ!」なんて凄い剣幕で俺に喉を震わせてくる隊長。
「の居場所を訊く度に言われたんだぞ!あいつ寝てねェんじゃないかって!!」
「あー、(また、あの人達はなんでまたよりによって隊長に・・・)」
「目の下にこんなもん作りやがって・・・」
そう言いながら目の下を擦る隊長に、擦っても取れませんよ、なんて言おうとしたのだけれど、俺を見る隊長のその顔が、眉間に皺を寄らせているその顔が、どうしようもないくらいに愛おしく感じてしまって、
「 エース隊長、」
「何だ?寝ないなんて言葉は聞かねェからな。」
のぞき込んでそんな事を言ってくる隊長に、俺は結局抑えきる事が出来なくて、何も言わずにそのまま彼に飛び込んでいった。「なっ!?」 なんて驚きながらも、隊長はいつだって俺のことをしっかりと受け止めてくれて。人よりも体温が少し高いんじゃないかなんて思うその心地よい彼の胸へと飛び込んだ俺は、しっかりと隊長の背中へと腕を回して、顔をそこへと埋めて。
「お、おいっ、?」
「ふふ、隊長、」
こんなことをしながらもやはり眠気というのはとれないもので、それどころかくっついていたら反対に熱いのではないかと思われたそれも隊長の体温は全くそんな事を感じさせることなく、むしろ心地よさを感じてしまい、俺の中の眠気は徐々に増幅していって。隊長が何だかあたふたしているようにも見えたけれど、もう既に俺の瞳はそれを判別できるほど開けていることが出来なくて。
「たいちょ、 」
「 お、おう?」
「すみ、ません、もう・・・」
「え、ちょ、おいっ?」
「っ?」 なんて隊長の声を、彼の心地よく脈打つ鼓動を聞きながらその腕の中で、夢の中へと旅立っていってしまった。
どうしようもない温かさ
エース、どこにいるか知ってる・・・ああ、 ま、マルコっ!!お、俺に、に、俺がっ! ・・・慌て過ぎだよい。とりあえず部屋に連れて行け。いくらこの気候っつっても用心に超したことはねェよい。 運ぶって・・・この状態でかっ!!? 他にどの状態があるってんだよい。まあ別に俺が運んでやっても良いが・・・ っ!俺がやるっ!! ・・・分かったから、さっさと抱き込んで行っちまえよい。
title by fio / どうしようもない温かさ