たまに、あいつを思いきり自分の中へと閉じこめておきたい衝動に駈られる。それが独占欲から来るものなのか何なのかなんて自分では判断できねェが、それを考えたところでこの衝動が収まる訳でもなく、ただあいつを抱きしめた時だけ自分の中にあるそれが嘘みてェに落ち着いていく。


「おい、。見ろよあれ!!」
「うわ、凄い形の魚。」


船縁で数人の部下達と落ちるんじゃねェかってくらいに乗り出して、楽しそうに海の底を泳いでいる魚を覗き込んでいる。その背中を見つめながら俺がそんな事を考えているとは当然あいつは知らない。知らないはずなのに、まるで俺の心を見透かしているかと思わせるタイミングでは後ろにいる俺の方へと視線を向けてきた。


「  隊長、」


そう喉を震わせながらゆっくりと俺の方へと歩いてくる。俺の前へと向き合うに「どうした?」なんて心中を悟られまいと普通に受け答えをしたつもりだった。けどこいつはそんな俺の心中を知ってか知らずか、そのまま俺の胸へと飛び込んできやがった。


「っ、  、」
「エース隊長、」


名前を呼び合っているだけだってのに、俺の中では先程まではなかった感覚が生じてきて。思いきり抱きしめたら壊れちまうんじゃねェかって思うその身体を、それでも俺は馬鹿みてェに求めるように背中に腕を回して抱きしめる。首元に顔を埋めるようにしてを求めれば、そんな俺を拒みもせずは俺の背中へとその手を這わせてきた。

「どうしたんですか?」 いつもなら聞こえてくるその声も、今日は聞こえてこなかった。いつもそれ訊かれたところで俺はちゃんとした答えを導く事なんてできねェのだが、それでも何となく癖になってしまっていたそのやりとりがなく、何となく物寂しさというやつを感じていればこいつはまた図ったかのようなタイミングでその言葉を放ってくる訳で。


「どうしたんですか、エース隊長。」


首元から伝わってくるその振動に俺がそこから顔を上げれば、微笑みながら俺の目を見てくるの姿が俺の視界に入ってくる。お互いの身体を抱きしめている分、それだけ顔の位置も近くなるわけだが、こいつ抱きしめることだけじゃ事足りねェと感じてしまった俺の中ではさっきのものとは違う、また別の衝動が溢れ始めていて。

そのうちこいつに呆れられてしまうんじゃねェかとも思ったりするが、自惚れとかそんなんじゃなく、が俺にそんな事を思うなんてたぶん、この先ずっとねェだろうと思ったりもする。だから俺は飽きもせずに、いつもと変わらない言葉をこいつに返して目の前にある唇へと俺のそれを重ねるのだ。


「何となく、だ。」

蒼に吸い込まれて、いく

「何ですか、それ。」なんて言いながらも、俺のそれを受け入れてくれることを俺は知っている



title by Seventh Heaven / 蒼に吸い込まれて、いく