「・・・おはようございます、隊長。」


いつもなら起きているはずの時刻、けれど今日は通常の時間に起きられなくて。「ああ、。珍しいな、お前が寝坊なんて。」 そう返事をしてくる隊長は昨日の事を思い出したようで苦笑する。俺が寝過ごしたのは昨夜、この船の親父である白ひげ船長の酌をしていたからだという事を隊長は知っているからなのだけれど、(それにしたって)


「親父に気に入られているンだから仕方ねェだろい。」
「 わ、 マルコさん。」


後ろからそう言葉をかけて来たのは、1番隊隊長のマルコさん。そんな彼に「おはようございます、マルコさん。」 と一応、礼儀正しく挨拶をすると 「まだ、眠たそうな顔をしてるぞい。」 なんて寝癖がついたままのおれの頭をわしゃわしゃと撫でながら笑みを浮かべて言ってくる。


「(というか、何で俺が親父さんの酌を?)」


親父さんはこうして偶に俺に酌をさせてくれるけれど、こんな平隊員なんかを選ぶ意味が未だに分からないでいる。まあ親父さんの酌をさせてもらえるのは嬉しい事だから、別に悩む必要は何処にもないのだけれど。マルコさんに撫でられながらそんなことを思っていると、隣にいた隊長が俺の方を向いてきて急に肩をがしっと掴んできた(? 何か、眉間に皺が)


「    、」
「? どうしたんですか、隊長?」
「何で、  何でマルコはマルコなんだっ!!
「   ・・・はい?


必死そうな口調で隊長から放たれたその言葉は、また何とも理解しがたい一言であって。そして起き抜けにそんな哲学的な事を言われても俺の頭は正常に動いていないから、それの返答に間の抜けたものしか出来なかった。(何でマルコさんがマルコさんなんだって、そんなものきっと本人に訊いても分からないようなことを何で俺に訊くんだこの人は。)


「・・・隊長、もう少し分かりやすく言っていただけると。」
「だあーっ!!だからそれだよ、それ!!」
「  それ?」


「隊長じゃなくて、俺の名前はエースだろっ!!」 なんて返事をしてくる隊長、どうやら彼は自分だけ名前ではなくて隊長と呼ばれるのが不服だったようで。(隣で話を聞いていたマルコさんから教えてもらった) けれど、上司である彼を名前で呼ぶ事は俺にとっては躊躇われることであって。


「それならマルコも隊長って呼べば良いっ!!つーか、呼べっ!!(何であいつばっかりがっ)」
「マルコさんまで隊長って呼んだら訳が分からなくなるでしょう。それに俺が属しているのは2番隊であって1番隊ではないんですよ?(今、命令形じゃなかったか?)」


そんな俺の言葉にあからさまに落ち込む隊長。「このままじゃっ、マルコにがっ!!」 なんて訳の分からない言葉を呟く我が隊長に、隣でマルコさんは深々とため息をつく。俺はどうして良いのか分からなかったのと、まだ眠かったのもあって落ち込む隊長を余所にマルコさんにもたれ掛かる勢いで必死に眠たい目を擦りながら立っていると、今までしゃがみ込んでいた隊長がいきなり勢いよく立ち上がったまた俺の肩を思いっきり掴んできた(また同じパターン・・・)


「なら、が他の隊に移ったら俺は「エースさん」に格上げかっ!?」
「? まあ、そうなりますけど(格上げ?)」


を他の隊へ・・・、なんてぼそぼそとひどく悩んでいる様子で隊長はその場を行き来する。今の様子からすると、隊長は俺を他の隊へと移したいと思っているのだろう。けれど、その命令だけはいくら隊長から出たそれでも聞くわけにはいかなかった。(だって、俺は)


「隊長、俺は他の隊なんて移動しませんからね?」
「   え、(ま、まさか俺の名前を呼びたくっ!?)」


「今までもこれからも、俺の隊長は貴方だけなんですから。」


残念ながら、俺の隊長はエース隊長でしかあり得ないわけで。親父さんやマルコさんそれからジョズさん達ももちろんだけれど、やっぱり俺の前を歩く人は、偉大な背中についていきたいと思うのは彼しか考えられないわけで。


「っ、っ!!(きゅーんっ!!)」
「 わっ、」


きっと笑みを浮かべていたのだろう、今思うと恥ずかしい事を言った気がしないでもないけれど、それが隊長には嬉しかったようで。俺が紡ぎ出した言葉を聞くや否や、隊長は俺の名前を呼びながら勢いのままに手を伸ばして俺を思いきり抱きしめてきた。(結局、隊長は何をしたかったんだろう?)

不満気に打ち出した

隊長?そんなにくっつかれると、朝食が食べづらいんですが。     あァ、俺は良いぜ。(何か大事なことを忘れている気がしねェでもないが、いやしかし、がそんなに俺の事をっ!!)   いや、隊長じゃなくて俺の食事が・・・(そんなに幸せそうな顔されたら無下に離せないじゃないですか、もう。)     エース、おめェはもうちょっと隊長の威厳ってやつを、(そんで名前の話はどこに行ったんだい・・・) 


title by 赤小灰蝶 / 不満気に打ち出した